著者
篠原 隆介
雑誌
科学研究費助成事業 研究成果報告書
巻号頁・発行日
pp.1-5, 2015-05

研究成果の概要 (和文) : オープン・ソース・ソフトウェア(OSS)は、公共財であるにも関わらず、その開発には、多くの技術者が自発的に参加し、高い品質で供給が行われている。本研究の目的は、公共財であるOSSの供給に、なぜ、多くの技術者が自発的に参加するのかを、公共財供給モデルを用いて明らかにすることである。多くのOSSに共通する性質として、(1)コンピューター(私的財)とOSS(公共財)の間の機能面での補完性、(2)OSSに付加可能な機能の多様性、の二点に注目して、これらの性質がただ乗りインセンティブを打ち消す程に十分な自発的な公共財供給インセンティブを与える可能性について検証した。
著者
堅田 香緒里
雑誌
科学研究費助成事業 研究成果報告書
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2016-05

研究成果の概要 (和文) : フェミニストのベーシック・インカム(基本所得)に対する評価は両義的である。そこで本研究では、ベーシック・インカムをめぐるフェミニズムの二つの立場―女の解放のための「解放料」と捉える立場/抑圧のための「口止め料」と捉える立場―の主張について整理した。両者を分かつ論点は多岐にわたるが、その主要な対立点は、ベーシック・インカムが性別役割分業に与える影響に関する見立てに求めることができる。そこで続いて、ベーシック・インカムが性別役割分業に与え得る影響について、これに類似した二つの所得保障政策―ケア提供者手当と参加所得―との対比を通して検討した。
著者
酒井 健
雑誌
科学研究費助成事業 研究成果報告書
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2017-06-09

研究成果の概要 (和文) : フランス現代思想のパイオニアであるジョルジュ・バタイユのエロティシズム論を出発点にして、のちの世代の現代思想の担い手たちが展開した性の思想を検証した。三年間にわたる本研究は初年度にバタイユのエロティシズム論の解明に向かい、次年度にブランショなどのポスト・バタイユ世代の性の思想の解明に向かった。最後の三年度においては今現在活躍を続けているナンシー、キニャールといった思想家の発言に視野を広げながら、先行2世代の性の思想と合わせて、現代に有効な新たな人間論を構築した。成果は国内外の学会発表、国内外の学術誌における論文発表、さらに著作の刊行などを通して積極的におこなった。