- 著者
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松野 純男
松山 賢治
- 出版者
- 近畿大学
- 雑誌
- 科学研究費助成事業研究成果報告書 (2012. )
- 巻号頁・発行日
- pp.1-4, 2012-01-01
研究成果の概要(和文): 培養細胞を用いて、第2世代(非定型)抗精神病薬(SGAs)のメタボリックシンドローム(MS)誘発機序の検討を行った。神経細胞株を用いた検討では、運動神経系よりも交感神経系細胞株であるPC12 において、オランザピンが他のSGA よりも5HT_<2C>受容体のmRNA 発現を活性化することを認め、セロトニンを介した交感神経系の刺激によりMS を誘発する可能性を示した。さらに、脂肪前駆細胞株3T3L1 を用いた検討によって、オランザピンがPPARγ の活性化によって脂肪分化を促進することを認めた。以上のように、SGAs のうち、特にオランザピンが脂肪細胞を直接刺激して脂質の取り込みを亢進させるとともに、交感神経系を活性化するという相乗効果によって肥満を引き起こすことを、培養細胞を用いて明らかにすることができた。 研究成果の概要(英文):In this study, the authors evaluated the effect of atypical antipsychotic agents (SGAs) on metabolic syndrome induction. Using neuroblastoma cell lines, one of SGAs, olanzapine, induced 5HT_<2C> mRNA transcription in PC12 autonomic neuroblastoma. Furthermore, olanzapine also induced PPARγ translation and subsequent fat accumulation in 3T3L1 mouse adipoblastoma cell line. These results suggest that olanzapine induces metabolic syndrome by synergistic effect of both an activation of sympathetic nervous system and an elevation of direct differentiation of adipose tissues.