著者
佐藤 伸子 石濱 直樹 川崎 朋実 片平 真史
雑誌
組込みシステムシンポジウム2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.25-1-25-7, 2011-10-12

ロケットや人工衛星などの宇宙機に搭載するリアルタイム OS(RTOS) を高信頼化するためには,その RTOS をどのように検証しているかを明らかにする必要がある.このため,民間航空機や原子力など信頼性が重視される分野で適用されている技術標準や,過去に宇宙機の搭載計算機で発生した不具合事例を参考に,RTOS に特化した検証要求を整備した.この検証要求を,TOPPERS/HRP カーネルの検証作業で繰り返し適用し,必要な解説を追加するなどの改良を重ね,「リアルタイム OS 高信頼化ハンドブック」 として編集したので紹介する.これは,宇宙機だけでなく,信頼性が重視されるシステムの RTOS に広く適用できるものである.
著者
徳本 晋 上原 忠弘 宗像 一樹 菊地 英幸 江口 亨 石田 晴幸 馬場 匡史
雑誌
組込みシステムシンポジウム2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.23-1-23-8, 2011-10-12

KLEE は LLVM 中間コードを対象としてシンボリック実行をすることができるツールである.C/C++ で書かれたプログラムは llvm-gcc や clang などのコンパイラで LLVM ビットコードにコンパイルできるため,C/C++ プログラムの検証ツールとして KLEE は期待されている.今回,2 つのプログラムについて KLEE を適用し,それにより検出したバグとその特徴を紹介するとともに,KLEE のバグ検出能力について考察する.また,他の商用 C/C++ 検証ツールで対象プログラムを解析したときの結果と,KLEE を使った場合との比較について報告する.さらに KLEE 適用時の課題を解決すべく,KLEE で生成したテストケースを CPPUNIT のテストコードへ変換するツールについても報告する.
著者
森本 喬 小林 良太郎 杉原 真
雑誌
組込みシステムシンポジウム2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.12-1-12-10, 2011-10-12

近年の集積回路の微細化に伴い,ソフトエラーと呼ばれる現象の発生が増加している.特に SRAM であるキャッシュはソフトエラーに対して脆弱であり,ソフトエラー耐性の向上が必要となる.メモリ回路のソフトエラー耐性向上手法として,誤り訂正符号 (ECC) 技術がしばしば用いられる.ECC の使用はメモリ回路においてアクセスレイテンシの増加を伴う.アクセスレイテンシの増加は,キャッシュを搭載した高い性能が要求される組込みシステムでは許容できない.本研究では,キャッシュのアクセスレイテンシを増加せずに,ECC 技術を適用したスクラッチパッドメモリ (SPM) を用いるソフトエラー耐性向上手法を提案する.計算機実験により,SPM 未実装時と比較して最大 72% のソフトエラー耐性向上を確認した.