著者
阿部 征次
出版者
東京女子体育大学・東京女子体育短期大学
雑誌
藤村学園東京女子体育大学紀要 (ISSN:03898806)
巻号頁・発行日
no.23, pp.p63-68, 1988-03

身体へのフィット性の高いウェイトジャケットを用いて,全力疾走を行い,その時のスピード,ストライド,ピッチの変化を知り,それらとパワー,筋力の関係から,スプリントトレーニングにウェイトジャケットを用いる際の留意点を明らかにすることを目的に本研究を行い,次のような結果を得た。1)スピードは負荷重量を増すに従い低下するが,ストライドよりもピッチの低下が大きい。2)パワーは体重当たりパワーとスピードの相関が認められる。3)等速性筋力は脚の屈曲の筋力とスピードの相関が認められ,とりわけピッチとの相関が高い。4)全力疾走のためのウェイトジャケットの重量は,体重の3%から5%が適当とされているが,本研究では4kgよりも2kgの方が適していると思われる。5)ウェイトジャケットをスプリントトレーニングに用いるには,ピッチを低下させないように努力することにより,パワー向上のみではない効果が期待できるものと思われる。本研究の要旨は日本体育学会第38同大会において発表した。