著者
中村 哲
出版者
日本観光ホスピタリティ教育学会
雑誌
観光ホスピタリティ教育 (ISSN:18803059)
巻号頁・発行日
no.1, pp.32-49, 2006-03-11

日本において,インターンシップは1990年代後半以降に急速に定着し,2004年度には全国の418大学が実施し,4万人近くの大学生が参加している.同時に,インターンシップに関するさまざまな研究・調査が行われるようになったが,その多くは参加した学生の意識を分析したものであり,参加していない学生層を対象としたものは少ない.大学が学生の就職支援を行ううえで,インターンシップに参加していない学生層の意識を把握し,フォローしていくことが必要となる.そこで本研究は,インターンシップ経験のない学生を対象とした意識調査を実施し,インターンシップを認知していたか否か,参加意向の強弱によってどのような意識の相違があるかを明らかにすることを目的としている.分析の結果,(1)大学主催型のインターンシップを実施していない大学では,インターンシップの認知度は必ずしも高くはない,(2)インターンシップを認知していた学生はインターンシップに対して楽観的なイメージを抱いている,(3)参加意向が強い学生をみてもインターンシップに対して正しいとは言えないイメージや多大な期待を持っている,(4)インターンシップへの参加意向の強い学生と弱い学生を比べると,意向の弱い学生のほうがさまざまな不安を示しており消極的な態度につながっている,(5)参加意向を示さない学生は不安を持つと同時にアルバイトを第一に考える傾向がある,といったことが明らかになった.