著者
大本 達也
出版者
鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部
雑誌
鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部紀要. 人文科学・社会科学編 = Journal of Suzuka University and Suzuka Junior College. 鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部紀要編集委員会 編 (ISSN:24339180)
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-18, 2018

美妙・山田武太郎による詩歌集『少年姿』(1886)は、寺院文化にはじまり、戦国から江戸中期期にかけて武士間にも広がった「男色」を主題とする。明治期における男子学生間での「男色」再流行のもとこの作品は成立するが、前近代的な「男色」は近代に成立した「恋愛」に次第に追いやられてゆく。この作品は、"poetry"概念に基づく日本語「詩」の形成史上、恋情を主題とした初の詩歌集であり、前近代と近代と結ぶ靭帯的作品である。
著者
大本 達也
出版者
鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部
雑誌
鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部紀要. 人文科学・社会科学編 = Journal of Suzuka University and Suzuka Junior College. 鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部紀要編集委員会 編 (ISSN:24339180)
巻号頁・発行日
no.2, pp.243-270, 2019

本論では、明治期における軍歌の形成過程を考察する。軍歌というジャンルは明治期において成立する。『小学唱歌集』(1881-4)や『新体詩抄・初編』(1882)、『新体詩歌』(1882-3)においてすでに軍歌的な作品が作られていたが、それらが軍歌と呼ばれることはなかった。885年末の「喇叭吹奏歌」の制定を機に、1886年に河井源蔵編『軍歌』が刊行されることによって軍歌というジャンルが立ち上がる。新体詩と唱歌を合体させたこの書の編集が軍歌の基本形を作り出す。以後、軍歌は新体詩、唱歌などとも呼ばれつつも、独自のジャンルとして発展していく。