- 著者
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牧野 久実
- 出版者
- 鎌倉女子大学
- 雑誌
- 鎌倉女子大学紀要 = The Journal of Kamakura Women’s University (ISSN:09199780)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, pp.73-80, 2019-01
本稿は、伝統的な大木桶の建造に和船建造の技術、特に板の擦り合わせ技術が用いられたという仮説(牧野 2017)を検証する論考である。板の擦り合わせ技術に重要な材料となるのは槇の檎皮を縄状にした槇肌であるが、今回日本で唯一醤油大桶の製造を手掛ける職人に聞き取り調査を行い、かつては槇肌を用いていたことを確認した。 これまで竹釘のみで材を合わせ、漏れ出る醤油で材が膨らむことで合わせ目が閉じるということが定説だったが、今回得られた証言は醤油桶の建造のみならず、かつての槇肌の利用や製造に関してより広範囲に調べる必要を示唆する重要な証言と言える。これに関連して、槇肌の利用に関する現存資料や史料を整理した。