著者
岩田 建
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.22, pp.35-42, 2015-03-31

市販の500mL ペットボトル入りミルクティー ( 6 社 8 種) を用いて、 官能評価の結果を、 商品解析に用いられているプロダクト・マッピングの手法に応用し、 味の特徴について系統的に分類することを試みた。 さらに、 商品の販売数と商品の味の特徴とに関連性が見いだせるかどうかを検討した。 この結果、 商品の味を、 「甘さ」 が強いか 「苦さ」 が強いかの軸と、 「紅茶風味」 が強いか 「ミルク風味」 が強いかの軸の 2 軸で考えることで、 系統的に配列できる可能性が示唆された。 また、 販売数と商品の味との関連は低く、 広い味の範囲で好まれていると考えられた。
著者
銭谷 真人
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The Journal of Kamakura Women's University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.28, pp.13-24, 2021-03-31

以前の論文で人情本の序文と本文の仮名字体について比較を行ったところ、人情本においては実用的な字体と装飾的な字体の分化が既に完成されていた。本稿では洒落本について同じように比較を行った。その結果、洒落本においては分化の途上であったことが判明した。さらに人情本と洒落本の仮名字体の比較を行ったところ、以下に述べることが分かった。①洒落本の本文で使用されていた仮名字体の一部は、人情本では序文にだけ見られた。②標準的な字体と字母が同じで字形が異なる仮名字体が、装飾的な字体として用いられた。③複雑な字形の仮名字体が本文では用いられなくなった。 つまり、仮名字体の収斂の傾向は、字体の消滅ではなく立ち位置の変化であると考えられるのである。
著者
成瀬 宇平 角田 文 加藤 真理 秋田 正治 村松 啓義
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.141-145, 2003-03-31

京料理の手法を参考に昆布だし汁のグルタミン酸量とだしの調製条件との関連について検討し,さらに昆布だしにかつお節を加えた「一番だし」の香気成分についてガスクロマトグラフィーマススペクトロメトリー(GC-MS)を用いて検討し,次の結果を得た。1)だし汁を調製する水の温度は60℃,昆布の浸漬時間が60分間のだし汁のグルタミン酸量は他の条件に比べて多かったため,京料理のだしを調製する方法は本実験と一致した。2)京料理では昆布に利尻昆布を使用するのは,濃度の薄いだしをとるためと考えられる。3)一番だしの主な香気成分はかつお節由来の成分であった。
著者
吉田 啓子 桑原 礼子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.75-82, 2004-03-31

台所で常に利用し、食品や器具類と接する機会の多い洗浄用のスポンジ・たわしは衛生的取扱が難しく、煩雑になりやすいと考えられる。そこで台所用スポンジ・たわしの微生物学的実態調査を行うと共に、Esherichia coli IAM12119^T, Bacillus subtilis IAM12118^T, Pseudomonas fluorescens IAM12022^Tをそれぞれをスポンジに接種し、乾燥させた状態あるいは湿った状態で20℃、30℃と温度を変えて保存しそれぞれの消長を観察し2, 3の知見を得た。
著者
大嶽 真康
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The journal of Kamakura Women's University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.166-158, 2018-01

本研究は、近年の諸研究の成果に基づき、従来北条時政の事績とされてきたものを精査し、真の時政像に迫ろうという意図を持つものである。その為に、本論考では鎌倉政権初期における北条氏の動向を一元的に見るのではなく時政とその子義時・政子の行動を分けて考えることを試みてみた。本稿は頼朝の没直後で考察を終えたが、今後さらに時代を下って考察を進めていきたい。
著者
坂倉 有紀 山口 尚子 大中 佳子 吉田 啓子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.16, pp.37-42, 2009-03-31

Listeriosis has been positioned as one of the important foodborn infections. This study investigated the behavior of Listeria innocua in foods prepared by vacuum-packed pouch cooking. In corn potage soup, Listeria innocua increased 2 log at 2℃ and 6 log at 10℃ after 10 days. The growth of Listeria innocua was slightly inhibited in the vacuum-packed pouch. The addition of 0.1% acetic strongly the growth of Listeria innocua.
著者
山野 清二郎
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.20, pp.66-58, 2013-03-31

日本最古の漢詩集である 『懐風藻』 には、 「元日」 の題を持つ詩として、 藤原不比等と長屋王の作品が載せられている。 また、 その二首に加えて、 大伴旅人の 「初春侍宴」 という詩も、 同じく元日の作として認めてよいだろう。 しかし、 いずれの詩も、 制作された年代や情況などは明らかでなかった。 そこで、 改めて詩の内容を検討して、 作者の置かれた立場や、 同時代の史書 『続日本紀』 などを探ってみると、 不比等と旅人の詩が和銅三年正月、 長屋王の詩が同八年正月に作られたと判断できる。 これらの詩は、 官人のみならず、 異族とされる隼人や蝦夷の人々をも交えて盛大に催された元日の宴において詠じられたものであり、 その場の雰囲気や宴の変化の様相などを窺わせる貴重な作品群として評価できるだろう。
著者
福田 喜一郎
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.19, pp.45-49, 2012-03-31

Zu unserer Uberraschung behauptet Kant,dass das Bestreben des Atheisten, seine sittlich rechtschaffe Eigenschaft zubewahren, begrenzt sei. Aber diese Behauptung von der moralischen Begrenzung des Atheisten steht beileibe nicht im Widerspruch zum Grundsatz der Willensautonomie bei Kant. Er fuhrt dabei seine Unterscheidung des moralischen Actus vom religiosen Habitus ins Feld, um solchen moralischen Nihilismus zu vermeiden. Er versucht zugleich weiterhin, der amoralischen Welt als Natur eine neue praktische Bedeutung beizulegen, was ,, das hochste Gut" oder das Dasein Gottes betrifft. Es ist m. E. die reflektierende Urteilskraft, die diese Bedeutung entdeckt und das Vertrauen zu dieser Welt gewinnt. In diesem Sinne kann Kant als der eigentliche Verfechter der Idee des Gnadenreichs von Leibnitz bezeichnet werden.
著者
川口 和英
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-11, 2004-03-31
被引用文献数
2

近年、大型の国際イベントについては、地域に対する経済波及効果を事前に計測し、予測データを各種メディアを通じて発表する事例が多くなってきている。2002年6月に開催されたFIFAサッカーワールドカップ (以下、W杯とよぶ) は国際的な大型スポーツイベントでもあり、経済波及効果については、これまでも様々な形での計測値が発表されてきた。これらの経済効果については、発表機関や計算方法についてもまちまちであり、十分な検証が行われないまま、多様な媒体によって公開されているのが実態である。また今回のW杯ほど、多くの機関が独自の計測結果を算出した例は過去に少なく、こうした経済効果に期待度が高まっている一方で、その結果については総じて検証が行われていない。本研究においては大規模な集客機能による地域への波及効果として2002年W杯に着目し、その事例研究を行うとともに、今後のこのような開発がもたらす地域波及効果の測定結果の検証方法につき、考察研究を行うことを目的とする。ここではW杯に関連して試算された様々な研究・調査事例のうち、代表的なものについて経済波及効果の試算結果の分析を行った。ここでは分析上の統一性をはかる意味でも産業連関分析による波及効果測定につき特定して検討した。
著者
伊藤 嘉奈子 工藤 吉猛
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.18, pp.61-69, 2011-03-31

The purpose of this study is to investigate the effects of employing collages and a career matrix in career education for third graders in a junior high school. First, the teacher asked students to use a career matrix. Next, the students were divided into several groups and asked to make a collage about a job and then to talk about various jobs based on the collages. The Career Maturity Attitude Scale questionnaire was implemented before and after the learning process. The results show that the students awareness of the importance of a career choice changed positively after the lesson.
著者
福田 喜一郎
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.39-50, 2006-03-31

Kant stand nach seiner Aufklarung-Schrift (1784) verschiedenen Schwierigkeiten gegenuber. Seine Unterscheidung zwischen dem offentlichen Gebrauch und privaten Gebrauch der Vernunft wurde von Hamann streng getadelt. Kant wurde danach in den Spinoza-Streit zwischen Jacobi und Mendelssohn hineingezogen und fur Atheisten gehalten. Ferner gab es heftigen Angriff der Schwarmer auf die in Berlin entwickelte Aufklarung. Kant hat in dieser Phase seine Orientierung-Schrift (1786) geschrieben, um die Idee von seiner Aufklarung in praktischer Absicht zu erklaren. Seine Idee wurde neu als "Selbstdenken" vorgelegt, dessen Maxime heisst: "den obersten Probierstein der Wahrheit in sich selbst suchen".
著者
佐藤 淑子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.20, pp.1-10, 2013-03-31

"本研究は、 育児期家族において、 社会・人口動態的な変数が、 父親と母親の自己認識や性別役割分業意識、 夫婦間コミュニケーション、 心理的ストレスにどのような影響を与え、 それが育児の協同にどうかかわっているかを検討した。 対象者は乳幼児を育てる366組の夫婦である。 主な結果は、 (1) 父親の労働時間が長い場合、 子どもの身体的な世話の頻度が少ない。 (2) 夫婦間コミュニケーションがよいと、 父親は子どものしつけ、 遊びの行動を多くする。 (3) 父母の自尊心は育児への肯定感と相関があるが、 母親の就業形態による自尊心に顕著な違いはみられない。 (4) 心理的ストレスは有職母親の方が父親より高いが、 仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーは父親の方が高く、 家庭内のミクロのジェンダー・ポリティックスの可能性が示唆された。 (2012年 9月28日受稿)"
著者
柴村 抄織
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The journal of Kamakura Women's University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.114-101, 2018-01

源氏物語五十四帖中、柏木は、若葉上巻、若葉下巻、柏木巻を中心に登場する。女三の宮への想いに苦悩する柏木の人生について、柏木のモデルとなった歴史上の人物である藤原道信に関連する和歌表現によって、紫式部は柏木の人間像を描写している。
著者
伊藤 甲之介
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The journal of Kamakura Women's University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.113-119, 2017-03

This paper describes the differences between the self-reliance activity of children with visual impairment, auditory impairment, physical handicap, and poor health at special-needs schools and the self-reliance activity of children with intellectual disability with reference to the history of self-reliance activity. This study also examines the relation to the context of subject-specific guidance. The education for the disabled other than for those with intellectual disability is supposed to provide the same education as a normal school (equivalent education). However, for intellectual disabilities education, there is a correspondence from the characteristic of the disability in the subject of the content for under first year of elementary school. Self-reliance activities address the difficulties from disabilities other than intellectual disabilities, however, for the mentally retarded itself, subject-specific guidance address. Here we describe the differences and relationships of self-reliance activities.
著者
福留 温子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The journal of Kamakura Women's University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.71-82, 2017-03

「らうたし」は、奈良時代にはなく、『うつほ物語』『蜻蛉日記』『落窪物語』の時代になり使用されるようになる形容詞である。「非力な者に何とかしてやりたい気持ちを表す」と辞書等に説明されるが、語を使用する主体と対象の関係は明らかにされていない。小稿では『落窪物語』の「らうたし」を分析し、結果、この語は親から子、夫から妻などの庇護者から被庇護者にしか用いられない形容詞であり、「らうたし」と思うことを動機として直後に庇護者として庇護行為をするケースがほとんどであり、『落窪物語』の「らうたし」は主体の庇護行為の意思を含む願望を表す語であることがわかった。また落窪が窮状に耐え努力する姿を道頼が「らうたし」と思い、庇護しようという意思・願望をもつことがストーリーを動かす力となっており、この語は当該物語を象徴する語であるといえる。
著者
若林 素子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.20, pp.21-26, 2013-03

カリタ式ペーパードリップ法において、 湯を、 蒸らし時間を加えながら 4回に分けて注ぐ抽出法Iと、 同量の湯を一度に注ぐ抽出法IIによりコーヒー抽出を行い、 それぞれのカフェイン濃度の違いを HPLC により定量分析した。 コーヒーとしては市販の焙煎直後のブラジル、 コロンビアおよびマンデリンの 3種を使用し、 抽出直前に粉砕した。 抽出法 I では65-93 mg/100g、 抽出法IIでは48-55 mg/100gのカフェインが抽出液に含まれることが明らかとなり、 3種いずれのコーヒーにおいても、 抽出法 I においてはIIと比較して約1.4倍から約1.7倍有意に (p < 0.01) カフェイン濃度が高くなることが示された。
著者
谷口(山田) 亜樹子 山口 真由
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.19, pp.51-59, 2012-03-31

This study focused on female students to examine the trend of brown-bag lunch and surveyed the students' awareness of the factors considered while preparing lunch. This survey was conducted in 2009, and the participants were 72 freshman-year female university students. The survey results confirmed that the students brought a brown-bag lunch more than 70% of the time. Their reasons for bringing their own lunch were that it was "economical and thus one saves money" (60%) and that it was "good for one's health as it had well-balanced nutrition" (13%). In contrast, those who did not bring any lunch said that they did not wish to "prepare it and wash the lunchbox" (45%) and "there's no build" (27%). Fifty-three percent of the students prepared their own lunch, whereas forty-seven percent of the students would ask a family member to prepare it for them. Many students also prepared lunch for their respective families. The factors considered by the participants while preparing lunch included nutrition (38%), sanitation (29%), and the financial aspect (25%). While several students considered both nutritional balance and economic savings as important factors, many others focused only on the hygiene factor. Participants mentioned that they would also prefer a lunch box "that could keep food warm," "that was air tight," "that could hold soup without it leaking," "that was easy to clean," and "that did not hold steam pressure."
著者
伊藤 嘉奈子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.43-49, 2008-03

近年、フリーターやニート、ひきこもりなど、若者をめぐる様々な問題が取り上げられている。特にフリーターとニートに関しては、若年者をめぐる雇用の問題として、研究がなされるようになった。しかし、両者の定義ははっきりと定まっていない。そこで、大学生278名に対し、フリーターとニートのイメージについて、質問紙法にて回答を求めた。カテゴリー分析を行なった結果、大学生は、フリーターに比べて、ニートに対しては、ネガティブなイメージを持っていることが明らかとなった。したがって、両者について正しく理解することができるよう、大学においてキャリア教育や、若者の社会的問題への心理的支援などを実施することの重要性が示唆された。