著者
稗圃 直史 寺井 理治 福田 伸二 富永 由紀子 根角 博久 森田 昭 長門 潤 一瀬 至 佐藤 義彦 浅田 謙介 橋本 基之 中尾 敬 吉田 俊雄
出版者
長崎県果樹試験場
雑誌
長崎県果樹試験場研究報告
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-15, 2008-12

長崎県果樹試験場では、1973年から農林水産省指定試験事業の「びわ育種指定試験地」としてビワの育種を開始し、2007年に早生種の'涼峰'を育成した。'涼峰'は1974年に'楠'に'茂木'を交雑して得た実生の中から選抜された。1996年から'ビワ長崎6号'としてビワ第2回系統適応性検定試験に供試し地域適応性を検討した結果、大果で食味の優れる早生種であることが確認され、2005年9月15日に'涼峰'と命名され「びわ農林5号」として登録された。また、種苗法に基づき2007年3月15日付けで登録番号第15019号として品種登録された。1)樹姿は直立と開張の中間で樹勢はやや強い。枝の発生はやや密である。満開期は年により変動するが概ね12月中旬で、'長崎早生'より遅く'茂木'より早い。ビワがんしゅ病には比較的強い。2)育成地の長崎県大村市における成熟期は5月下旬で、同じ早生品種の'長崎早生'と同時期である。3)果実の大きさは平均56.5gで、'長崎早生'や'茂木'よりも大きい。果形は短卵、果皮色は橙黄である。剥皮性は良好である。果汁の糖度は11.4%で'長崎早生'や'茂木'と同程度、また、酸含量は0.23g/100mlで両品種より若干低い傾向である。果肉は両品種と比べて軟らかく多汁で、食味は良好である。果皮障害ではへそ黒症および緑斑症は発生しにくいが、そばかす症が発生しやすく、裂果および紫斑症も発生する。
著者
寺井 理治 稗圃 直史 福田 伸二
出版者
長崎県果樹試験場
雑誌
長崎県果樹試験場研究報告
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-13, 2007-12

長崎県果樹試験場では、1973年から農林水産省指定試験事業のびわ育種指定試験地としてビワの育種を開始し、2005年に早生種の'麗月'を育成した。'麗月'は1976年に'森尾早生'に'広東'を交雑して得た実生の中から選抜された。1996年からビワ第2回系統適応性検定試験に'ビワ長崎7号'の系統番号を付して施設栽培用系統としての特性を検討した結果、施設栽培に適した品質優秀な早生種であることが確認され、2002年9月3日に'麗月'と命名され「びわ農林4号」として登録された。また、種苗法に基づき2005年3月23日付けで登録番号第12983号として品種登録された。施設栽培における特性は以下のとおりである。1)'長崎早生'の一般型加温栽培体系で施設栽培を行った場合、育成地の長崎県大村市では4月下旬に成熟し、成熟期は同じ早生種の'長崎早生'より若干遅い。2)樹姿は直立性で樹勢は強い。枝は太く、その発生は中である。満開期は11月下旬から12月上旬で、'長崎早生'より若干遅い。がんしゅ病には比較的強い。3)果実の大きさは平均51gで、'長崎早生'よりも大きい。果実縦断面の形は円形から扁円形、横断面は円形である。果皮色は黄白色である。はく皮性は良好である。そばかす症が若干発生するが、果皮障害の発生は少なく外観は良好である。果肉は黄白色を呈し、ち密で軟らかく、糖度は平均14.1%と極めて高く食味が非常に優れている。