- 著者
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森田 昭
- 出版者
- 九州病害虫研究会
- 雑誌
- 九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, pp.25-30, 2013-11-29 (Released:2015-10-14)
- 参考文献数
- 12
- 被引用文献数
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2008年~2010年に長崎県大村市の山野,並びに庭園に生えているコスギゴケ,ハイゴケ,ツルチョウチンゴケ,フデゴケ,ヒメシノブゴケ,エゾスナゴケ,ホソバオキナゴケ,コムチゴケ,ジャゴケ,および島根県出雲市の庭園に植栽してあるセイタカスギゴケの10種の蘚苔類が坪枯れ状となって褐変枯死し,その上にナタネ種子大の褐色球形菌核を認めた。それらの褐変した部分からは白絹病菌様の糸状菌が分離され,その分離菌は馬鈴薯煎汁寒天培地上での生育適温,菌叢の色や形状,主軸菌糸幅,かすがい連結の有無などに関してギンゴケから分離された白絹病菌と一致した。これら蘚苔類からの分離菌は,すべて各宿主蘚苔類に対してギンゴケ白絹病菌と同様に病原性を示し,病徴の再現を認め,再分離も可能であった。以上の結果から,坪枯れ症状を呈した10種の蘚苔類から分離された糸状菌は白絹病菌(Sclerotium rolfsii Saccardo)と同定し,各宿主蘚苔類の白絹病(Southern blight)と呼称することを提唱する。