著者
竹村 唯 中尾 八重子 TAKEMURA Yui NAKAO Yaeko
出版者
長崎県立大学
雑誌
長崎県立大学看護栄養学部紀要 (ISSN:18841759)
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-12, 2020-03

目的:委託型地域包括支援センター(以下、センター)の委託元市町村(以下、市町村)との連携・協働の現状や要望を明らかにし、今後の課題を検討する。 方法:A県内の3センターの主任介護支援専門員4名・社会福祉士3名・保健師3名に個別面接を行い、面接内容を意味内容の共通性からカテゴリー化した。 結果:センターは、担当部署と事例や事業、会議など多岐にわたり、また、事例については担当外部署とも連携や協働を行い、内容によって連絡手段を選択していた。市町村には気軽に連絡や相談できる一方で、主張に限界を感じていた。センターは、市町村に1担当者の地域に即した事業やセンターの尊重、2担当外部署の情報提供やセンターの理解、3他機関との橋渡しや体制作りなどの統括的役割を求め、市町村と地域の特徴を踏まえた地域づくりをしたいと考えていた。 考察:センターと市町村との連携や協働の推進には、市町村は委託先というセンターとの微妙な力関係を理解し、センターの本音を聞くことや、両者の合意による事業や活動をともに行う過程の重要性が示唆された。また、センターは住民の生の声を把握できる強みを活かし、市町村と協働することが重要である。
著者
吉澤 和子 吉澤 和子
出版者
長崎県立大学
雑誌
長崎県立大学看護栄養学部紀要 (ISSN:18841759)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.31-38, 2015

背景 2015年 6 月、米国食品医薬品局(FDA) はトランス脂肪酸が「安全と認められる(generally regarded as safe: GRAS)食品」ではない、と定義づけ、食品への添加を 3 年で禁止すると発表した。米国で1993年、8 年に亘る前向きコホート研究によりトランス脂肪酸が冠状動脈心疾患のリスクを高めることが発表されていた。しかしこの知見が政策決定に十分に活かされることはなく、2016年使用禁止に至るまで長い時間が経過した。目的 1993年トランス脂肪酸の健康への悪影響があることを示した研究発表から、2016年の使用禁止に至った背景を概観し要因を考察した。方法 文献データベースPubMedを用いてキーワードにより検索を行い、その中で栄養情報について妥当性が確認されている文献を用いて行う。結果 PubMedを用いた文献検索で得られた文献の中で栄養情報に妥当性があるものを選定した。2009年に発表したMozaffarian, Aro and Willettが行ったメタ・アナリシスによりトランス脂肪酸が冠状動脈心疾患のリスクを高めることを明らかにしている。考察 2015年 6 月の米国FDAのトランス脂肪酸の使用禁止の発表に至った主な要因は2つ考えられる。一つはトランス脂肪酸の栄養成分表示の義務化や含量規制だけでは医療費増大の抑制が困難なこと、もう一つはメタ・アナリシスなどエビデンス・レベルの高い知見の蓄積あり説得力を高めたことが考えられる。