著者
森松 慶子
出版者
日本電子キーボード音楽学会
雑誌
電子キーボード音楽研究 (ISSN:21899339)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.24-31, 2015 (Released:2017-04-10)
参考文献数
1

要旨 電子楽器から音を出すためにスピーカーは不可欠であるが、スピーカーから出る音は、アコースティック楽器の音とは出方、減衰の仕方が異なる。そのため、電子楽器と PA を使用しないアコースティック楽器でアンサンブルする際は、音量バランスをとるのに工夫が必要である。その場合、音響学的な基礎知識や機材のノウハウとともに、人間の音の聞き方や感じ方に対する想像力が大切である。また、そうしたことを電子楽器奏者が心得ておくだけでは不十分である。共演者に、機械的な話としてではなく、音楽的な事柄として理解してもらい、より良い結果を得るために積極的に関与してもらう努力も必要である。電子楽器が音楽の世界で一般的な市民権を得るためには、重要な過程の一つである。 本論では、基礎的な音響学の用語を整理しながらスピーカーからの音の出方を理解し、実際の演奏の場でどのような工夫が有効か、筆者自身が演奏の現場で経験してきたことと、理論的な知識を随時照らし合わせながら記述する。
著者
田中 功一 小倉 隆一郎 鈴木 泰山 辻 靖彦
出版者
日本電子キーボード音楽学会
雑誌
電子キーボード音楽研究 (ISSN:21899339)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.4-16, 2017 (Released:2018-01-22)
参考文献数
3

筆者らは、保育士・教員養成校で学ぶピアノ初学者の学習を支援するため、学習者と教員の演奏状況をグラフに出力してフィードバックするプログラム「ピアノ演奏見える化ツール」を開発した。このツールを中核として、その前に自学自習プログラム、ピアノ対面指導、及び学習者自身が演奏録音を聴く、以上を加えて、さらにこれらを学習者が振り返り、感想を記述する「ピアノ学習プロセス」を構築した。この「ピアノ学習プロセス」の実践における学生の記述と教員のコメントに対して、質的分析手法の一つであるSCATを用いた分析を行った結果、「ピアノ学習プロセス」の特徴として計18の理論記述を導き、学びにおける構造的な意味を抽出した。