著者
渡邉 康一 河原 信太郎 大屋 裕二
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集 第25回風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
pp.109-114, 2018 (Released:2019-06-29)

ウインドソーラータワー(以下WST)は,地表近くに高さの低い集熱部,その中央にタワー,タワー内の下部に風車をもつ発電プラントである.類似なものとしてソーラーチムニーがある.太陽光が得られるとき,日射による地面の加熱を通じて温室内の空気が暖められ,浮力によってタワー内に熱上昇風が創風される.ソーラーチムニーはこの熱上昇風により風力発電しており,WSTもこの原理を利用する.一方で,WSTはこの熱上昇風とは別種の内部上昇風も発生させることができる.それはタワー上部付近に横風が吹いたとき,上空風がタワー上部付近に低圧領域を生成することによりタワー内部の風を集めて吸い上げることによって上昇風を発生させるという,熱とは無縁の集風原理を用いることによるものであり,著者らの研究グループではこれら2つの上昇風を同時利用することによってWSTでハイブリッド発電する研究を進めてきた.効果的に内部上昇風を生成するタワー形状についても研究を続けており,過去の研究により,円筒型と比較して,ディフューザ型のタワーとした方が効率的に速い内部上昇風速が得られることが分かっている.また,上空風を利用する場合は,タワー上部に渦生成板を設置すると上空風に匹敵する内部上昇風速が得られることも分かった.本論文ではこれらの知見のもと,タワー縦横比を変化させた場合に,上空風の吸い上げ効果に与える影響についての研究結果を報告する.同じタワー高さでも,集風効率を維持したままタワーを太くできれば大きなブレード面積を確保することができ,スケール効果により発電量の増加が見込まれる.本研究では風洞実験にて縦横比の影響を検証した.