著者
川上 昭吾 渡邉 康一郎
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1-14, 2010-03-03
参考文献数
57
被引用文献数
1

1985年から現在までのわが国における有意味受容学習の研究のまとめをおこなった。有意味受容学習はオーズベルによって提唱された先行オーガナイザ(Advance Organizer AO)を使う演繹的思考過程を重視する学習理論である。先行オーガナイザは,学習の始まりに使うものであり,それ以降の学習に見通しをもたせるような一般的で抽象的な概念である。私達研究グループは,図やモデルも先行オーガナイザとして使うことができることを明らかした。先行オーガナイザを使うポイントは,学習者に「わからないな。どうしてだろう」という疑問をもたせた状態にして(これを私達は「モヤモヤを作る」と呼んでいる)おくことである。本報告ではモヤモヤ作りと先行オーガナイザを「資料」として整理した。なお,「先行オーガナイザ」は研究上使っている言葉であり,授業では「ヒント」を主に使い,「これからの学習の核となる見方」という言い方もしている。同様に,有意味受容学習を今後は簡潔に「受容学習」として使っていきたい。受容学習の効果は,「学習者がわかる」こと,特に「理科を不得意とする子もよくわかる」こと,「発展学習をスムーズに導入することができる」こと,「わかるから,理科の授業が面白く感じる」ことなどである。受容学習は,発見学習に置き替わるものでない。受容学習も発見学習と同様,問題解決学習に含まれる。受容学習は演繹的な思考過程をとり,学習内容が抽象的な場合適している。その意味で,中学校では適した単元が多い。
著者
渡邉 康一 河原 信太郎 大屋 裕二
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集 第25回風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
pp.109-114, 2018 (Released:2019-06-29)

ウインドソーラータワー(以下WST)は,地表近くに高さの低い集熱部,その中央にタワー,タワー内の下部に風車をもつ発電プラントである.類似なものとしてソーラーチムニーがある.太陽光が得られるとき,日射による地面の加熱を通じて温室内の空気が暖められ,浮力によってタワー内に熱上昇風が創風される.ソーラーチムニーはこの熱上昇風により風力発電しており,WSTもこの原理を利用する.一方で,WSTはこの熱上昇風とは別種の内部上昇風も発生させることができる.それはタワー上部付近に横風が吹いたとき,上空風がタワー上部付近に低圧領域を生成することによりタワー内部の風を集めて吸い上げることによって上昇風を発生させるという,熱とは無縁の集風原理を用いることによるものであり,著者らの研究グループではこれら2つの上昇風を同時利用することによってWSTでハイブリッド発電する研究を進めてきた.効果的に内部上昇風を生成するタワー形状についても研究を続けており,過去の研究により,円筒型と比較して,ディフューザ型のタワーとした方が効率的に速い内部上昇風速が得られることが分かっている.また,上空風を利用する場合は,タワー上部に渦生成板を設置すると上空風に匹敵する内部上昇風速が得られることも分かった.本論文ではこれらの知見のもと,タワー縦横比を変化させた場合に,上空風の吸い上げ効果に与える影響についての研究結果を報告する.同じタワー高さでも,集風効率を維持したままタワーを太くできれば大きなブレード面積を確保することができ,スケール効果により発電量の増加が見込まれる.本研究では風洞実験にて縦横比の影響を検証した.