著者
杵淵 恵美子 吉田 安子
出版者
駒沢女子(短期)大学 学長 光田 督良
雑誌
駒沢女子大学研究紀要. 人間健康学部・看護学部編 = The faculty journal of Komazawa Women's University (ISSN:24347574)
巻号頁・発行日
no.1, pp.61-68, 2018

1961年から2016年までの55年間で、家族計画に関する女性の行動として避妊法の利用にどのような変化があったのか明らかにするため、既存資料から検討を行った。先行研究および統計資料から、避妊の実行状況、避妊の実施方法、不妊手術件数・実施率、人工妊娠中絶件数・実施率の経年変化についてデータを収集した。その結果、最も利用されていた避妊方法は55年間変化なくコンドームであった。避妊効果の高い低用量経口避妊薬や子宮内避妊器具・子宮内避妊システムは利用率が低いままであった。不妊手術件数(女性)は約1/9に減少し、人工妊娠中絶件数も約1/6に減少していた。しかし、20歳未満の人工妊娠中絶件数は一時期増加し、実施率も1961年の水準には戻っていなかった。日本女性の避妊法利用に顕著な変化は確認できず、若年世代への教育支援やライフステージおよび女性個々の状況に合った避妊効果の高い方法を選択できるような働きかけが必要と考えられた。