- 著者
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髙山 耕二
原 裕
石井 大介
柳田 大輝
冨永 輝
飯盛 葵
松元 里志
片平 清美
大島 一郎
赤井 克己
中西 良孝
- 出版者
- 鹿児島大学
- 雑誌
- 鹿児島大学農学部農場研究報告 = Bulletin of the Experimental Farm Faculty of Agriculture, Kagoshima University (ISSN:03860132)
- 巻号頁・発行日
- no.39, pp.7-10, 2018-03
肥育牛舎におけるイノシシ害防除法の確立に向けた基礎的知見を得ることを目的とし, 嗅覚刺激として市販のオオカミ尿(以下, 尿) を野生イノシシに提示し, その効果を調べた. 2012年12月に野生イノシシの誘引餌として市販の濃厚飼料を置いた誘引場所(6.0m2) の入口に, 1) 容器および尿のいずれも設置しない(設置前), 2) 容器のみを吊るす(空容器) および3) 容器に尿を入れて吊るす(容器+尿) の3つの処理を行った. オオカミの1日平均侵入頭数は, 設置前で70頭/日, 空容器で50頭/日および容器+尿で67頭/日となり, 処理間差はみられなかった. 空容器では, それに野生イノシシが強い警戒心を示し, 鼻先を使って探索する状況がみられた.しかしながら, 通過時間には3処理間で有意差が認められなかった. また, 容器+尿に対して, 野生イノシシが忌避する状況はみられなかった.以上より, 市販のオオカミ尿に対して, イノシシは忌避しないことが示された.