著者
田ノ上 智美 奥村 史彦 下桐 猛 片平 清美 廣瀬 潤 伊村 嘉美 岡本 新 前田 芳實
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部農場研究報告 (ISSN:03860132)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.17-20, 2006-03-10

本報告は鹿児島大学付属農場の動物飼育棟でトカラ馬の馴致試験を行い,その馴致の過程をまとめたものである.供試馬として,この子馬は,2003年2月21日生まれで,同年4月30日に大学構内の動物飼育棟に導入した.日常管理を通じて基礎的馴致を行い,その過程を観察した.また基礎的馴致は便宜上,(1)人間に対する馴致,(2)運動に対する馴致および(3)手入れに関する馴致と分類した.今回の馴致試験では,人間に対する馴致に1ヶ月,運動に対する馴致に3ヶ月,手入れに対する馴敦に4ヶ月要した.このことから,トカラ馬の場合,子馬の基礎的な馴致は約4ヶ月ほどあれば可能であることが明らかとなった.しかしながら,実験後半から人間に対する咬癖が出始め,この悪癖はその後も矯正することは出来なかった.この原因として,母馬から離す時期が早すぎた,運動時間の不足・パドックに長時間入れられていたことによるストレス,子馬本来の気質,飼育方法に何らかの欠陥があったことなどが考えられた.よって今後は身についてしまった悪癖を矯正し,この後の調教を的確に行えば社会的利用は十分可能であると思われる.また,他のトカラ馬を使用する場合は,母馬から離す時期,飼育方法をさらに検討し,子馬の気質も考慮にいれながら馴致を行い,咬癖,蹴癖など人に害を及ぼす癖のない馬であれば子供が使用することも可能であると思われる.
著者
髙山 耕二 平野 里佳 園田 大地 中村 南美子 大島 一郎 中西 良孝
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部農場研究報告 = Bulletin of the Experimental Farm Faculty of Agriculture, Kagoshima University (ISSN:03860132)
巻号頁・発行日
no.40, pp.19-21, 2019-03

平飼い条件下での薩摩黒鴨™の産卵性に関する基礎的知見を得ることを目的とし,産卵率,孵化率および卵質について検討した.2017年12月23日から2018年6月21日にかけて,鹿児島大学農学部附属農場内動物飼育棟において飼養試験を行った.180日齢の薩摩黒鴨™12羽(♂3,♀9)を14㎡の飼育スペースで市販成鶏用配合飼料(粗タンパク質含量15%,代謝エネルギー含量2,800kcal/kg)を不断給与しながら群飼した.180~360日齢における薩摩黒鴨™の産卵率は79.2%であった.受精率は97.0%,対受精卵孵化率は77.1%であった.薩摩黒鴨™ 卵に占める卵黄の割合は,市販鶏卵のそれに比べて有意に大きく(P<0.05),その化学成分では薩摩黒鴨™卵の水分含量が市販鶏卵より有意に低く(P<0.05),タンパク質含量が有意に高かった(P <0.05).以上より,薩摩黒鴨™ の産卵能力および繁殖能力は他のアヒル類よりも高く,その卵質は鶏卵とは異なることが示された.
著者
遠城 道雄
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部農場研究報告 (ISSN:03860132)
巻号頁・発行日
no.32, pp.27-30, 2010-03

ミクロネシア連邦で栽培される主な作物は湿地性のタロイモであるジャイアントスワンタロ, ヤムイモ類, パンノキである。ジャイアントスワンタロは湿地が必要であるので, 栽培前に湿地の造成が必要となるが, 周年での収穫が可能である。ヤムイモやパンノキは収穫期に季節性があるため, パンノミからは発酵貯蔵食品が製造されている。
著者
髙山 耕二 原 裕 石井 大介 柳田 大輝 冨永 輝 飯盛 葵 松元 里志 片平 清美 大島 一郎 赤井 克己 中西 良孝
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部農場研究報告 = Bulletin of the Experimental Farm Faculty of Agriculture, Kagoshima University (ISSN:03860132)
巻号頁・発行日
no.39, pp.7-10, 2018-03

肥育牛舎におけるイノシシ害防除法の確立に向けた基礎的知見を得ることを目的とし, 嗅覚刺激として市販のオオカミ尿(以下, 尿) を野生イノシシに提示し, その効果を調べた. 2012年12月に野生イノシシの誘引餌として市販の濃厚飼料を置いた誘引場所(6.0m2) の入口に, 1) 容器および尿のいずれも設置しない(設置前), 2) 容器のみを吊るす(空容器) および3) 容器に尿を入れて吊るす(容器+尿) の3つの処理を行った. オオカミの1日平均侵入頭数は, 設置前で70頭/日, 空容器で50頭/日および容器+尿で67頭/日となり, 処理間差はみられなかった. 空容器では, それに野生イノシシが強い警戒心を示し, 鼻先を使って探索する状況がみられた.しかしながら, 通過時間には3処理間で有意差が認められなかった. また, 容器+尿に対して, 野生イノシシが忌避する状況はみられなかった.以上より, 市販のオオカミ尿に対して, イノシシは忌避しないことが示された.