著者
野口 将彦
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
Hospitalist (ISSN:21880409)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.843-850, 2018-12-01

心不全の背景疾患はさまざまである。しかし,壁運動異常を伴う心不全患者を診た場合,原因として虚血性心疾患の可能性を常に考えなければならない。虚血性心疾患は何らかの冠動脈病変を起因とし,急性・慢性的に心筋虚血を起こす疾患であり,心不全の重要な原因疾患の1つである。 本稿では実際に当院で経験した症例を提示しながら,虚血性心筋症とは何か,心不全と診断した場合,常に虚血性心疾患をスクリーニングする必要があるのか,虚血性心疾患を合併していた場合,常に血行再建が必要か,その方法はどうしたらいいのか,などについて考えてみたい。急性冠症候群に伴う心不全については,別稿*1を参照されたい。
著者
白石 泰之
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
Hospitalist (ISSN:21880409)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.793-805, 2018-12-01

近年の世界的な心不全患者の増加は「心不全パンデミック」とよばれ,医療だけでなく社会・経済面でも大きな問題となる可能性を孕んでいる。今後の心不全診療を考えるうえで,国内外における心不全の有病率や発症率,そして予後を把握することは重要である。 心不全にかかる経済的負担が膨らみ続けるなかで,前時代的な「均一の医療」から「テーラーメード医療」への転換が必要であり,予後予測(リスク評価)に基づいた効果的かつ効率的な医療の実践が望まれている。本稿では,複数の臨床的な予後因子を組み合わせた心不全リスクモデルと,その臨床使用についても合わせて概説する。