著者
綱川 秀夫
出版者
東海大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1990

本研究では,隣接した複数のセクションにおけるDRM方位デ-タから,地磁気方位・相対強度を推定する新たな方法を用いて,房総半島における海成層(BMC,BMH,BMYセクション)に記録されたブリュンヌ・松山逆転を解析した.その結果と,これまでに得られている地磁気反転のデ-タとを比較した.さらに,地磁気永年変化との共通性を考察し,非双極子磁場の成因について物理的モデルの可能性を考察した.例えばBMC・BMY両セクションでは方位変化にパタ-ンの類似性はあるものの大きな時間のずれがある.BMCの方がBMYより伏角では約100年,偏角では約200年早く変化している.このようなずれは,両セクションの時間分解能の差異や堆積速度の見積り誤差などでは説明できない.しかし,堆積物の残留磁化はある時間幅の地磁気を重畳したものであるという見地から検討すると,もしBMCの方がより長い時間幅の応答関数をもっていれば,BMYよりも早い時期に磁化の変化が現われてくることになる.そこで,本研究代表者による新しい解析方法を,3つのセクション(BMC・BMH・BMY)に記録されたブリュンヌ・松山逆転時のDRM方位デ-タに適用した.結果的に収束解が存在し,房総地域のブリュンヌ・松山逆転時約900年間にわたる地磁気3成分変化が推定できた.この推定結果とブリュンヌ期地磁気永年変化とを比較してみると,双極子磁場g_1^0と2種類の非双極子磁場主役を占めていたことを示唆する.

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