著者
中村 康則 青木 茂治
出版者
日本歯科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

口腔カンジダ症患者から分離したC.albicans K株の1×10^7〜4×10^7cellsを4週齢の雌雄SDラットに1回静脈接種することにより四肢に関節炎を発症せしめ、外観症状(腫脹,発赤,歩行異常)の経過を観察すると共に関節部骨の形態変化について検討した。1.経過観察:(1)発症率には性差はなく、接種菌量の増量にほぼ依存して発症頻度も高くなった。(2)発症の時期は菌接種後2〜4週に集中したが、2ケ月以降に遅発する例や再発例もあった。(3)発症部位は諸々の関節に及ぶが、中でも足根部,膝,助骨,肘の頻度が高かった。また、一個体で複数部位に発症する例が約4割あり、接種菌量が増量すると発症部位の総数も増加した。(4)外観症状の回復には平均2週間位を要したが、数日間の軽症例や長期間持続するものもいた。 2.骨形態変化:(1)関節炎部位の軟X線写真からは骨の膨隆,骨吸収斑の他、関節面の凹凸もみられた。骨吸収斑は未発症の骨にも同様にみられた。(2)それら部位のCMR写真からは軟X線所見を裏付ける骨造生像や骨吸収窩像の他、皮貭骨の菲薄化、骨梁の減少も観察された。この造生骨の形成過程を踵骨の例でみると、外観症状の出現から4日位で針状の未熟骨が部分形成され、その数日後には桿状骨となり骨辺縁を取巻いていた。この間に投与した硬組織時刻描記剤テトラサイクリンの骨蛍光分布は造生骨が顕著であり、石灰化が活発であることが示された。そして、この骨変化は外観症状が顕著なもの程、高度でかつ永続した。(3)病理組織標本からは旺盛な骨芽細胞が造骨している一方で、破骨細胞の出現による骨吸収窩像がみられたが、これらの所見は関節周囲の強裂な炎症に起因すると思われた。以上の成績から、本真菌によるラット関節炎は多発性であること、遅発や再発も起こること、骨に対しては新生骨の造生と骨吸収斑の変化が主であり、これらの骨病変は自然治癒しにくいことが示唆された。

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石灰化はカルシウムって当たり前すぎるからプラークの点から考えてみる まずカンジダ >またカビ自体が塊(菌塊)を作っており、 内部が石灰化とといって石のように硬くなっていることもあります。https://t.co/ECtcfsSaSy カンジダと関節炎https://t.co/nrsN9UPIPW >石灰化が活発であることが

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