著者
河野 功
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992 (Released:1993-04-01)

日本産シキミおよび中国産シキミ科(Illiciaceae)植物の有毒成分検索の過程で,シキミ科に特有と考えられる化合物群が得られた.そこで,より系統的に特異な化合物群の存在を検討する目的で,幾つかのシキミ科植物について成分検索を研究を開始した.その結果 1)シキミ(Illicium anisatum)の果皮から得られるanisatin,pseudoanisatinの他に,新規なanisatinの誘導体を得た.また,anislactoneAおよびBと名付けた新規なanisatin由来の骨格を持つ化合物を単離した.2)大八角(I.majus)の果皮の成分としてmajucinおよびneomajucinと名付けたsesquiterpeneを得た.これらはanisatinと同じ骨格を持つものである.また,phytoqu-inoidと呼ばれるヤエヤマシキミから得られていた化合物群も得られた.このものの分布も非常に限られており,シキミ科に特異的成分と言える.3)紅八角(I.macranthum)の樹皮によりmacrantholと名付けたtriphe-nylneolignanが得られた.また,4)南川八角(I.dunnianum)の果皮よりこれと同じ骨格を持つdunnianolとその異性体isodunnianolが得られた.5)野八角(I.simonsii)より同種のsimonsinolを単離した.以上のtri-phenylneolignan類はモクレン科(Magnoliaceae)見られるbiphenylneo-lignanの存在と考え合わせると,シキミ科のケモタクソノミー的考察を加える上で重要な知見を与えた.また,野八角にも有毒成分のanisatin型sesquiterpeneが存在することが分かった.一方,民間的に漢薬として用いられている地楓皮(I.difengpi)からglycerophenylpropanoidやglyceroneolignanに属する化合物を数種得た.この種のものは野八角からも単離されているので,この種の化合物の存在はシキミ科に特有のものと言える.以上の結果,シキミ科の特有の成分としてanisatin型sesquit-erpeneやphytoquinoid,triphenylneolignan,glycelophenylpropanoidあるいはglyceroneolignanの存在が示された.

言及状況

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長崎大学で研究された報告書があります。 https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-04671296/04671296... 農研機構による研究の記事もあります。 http://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_poisoning/plants/Illic... 日本中毒情 ...

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