著者
小松 幸廣 吉岡 亮衞 坂谷内 勝
出版者
国立教育研究所
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

(1)音声データの収集とデータベース化音声データの収集とデータベース化を行った。音声データベースの対象として収集した音は虫の音、蛙、鳥、風の音など“自然の音"に関するものとアナウンサーによる辞書の見出し語の朗読など言語の音声情報である。収集した音データの詳細は次の通りである。・自然の音については教科書を使って録音対象とする語句の選出を行った。小中学校の全国シェア上位3社の現行教科書(小学校8科目、中学校14科目)を対象にして選出した結果、擬声語、擬態語など、国語、理科を中心に約300項目を得た。これを基に収録を進め、昨年集めたものと合わせて約150項目の音声データとなった。収録した音声データは編集を行い、音声レベル、量子化幅、サンプリング周波数、採取場所、時間、圧縮の有無、名称の属性を付けたうえで光磁気ディスクへの登録を行った。・言語の音声情報をデータベース化するために国語辞典(基礎日本語学習辞典)の見出し語約3,000語を音声情報として収録した。同音異義語、助詞、助動詞、代名詞、連体詞、接続詞など単独の発音だけではイントネーションやアクセントなどを識別するのが困難な場合については用例を収録した。(約500語)(2)音声データベース検索ツールの開発自然の音データベース及び言語の音声情報データベースの検索ツールの機能設計を行い、検索システムの試作、評価を行った。これらの研究から明らかになったことを挙げる。〈自然の音検索システム〉・擬声語や擬態語には類似な表現が多く共通理解を得ることが難しい。また、一言で"かぜの音"と表しても時間や場所によって差違が生じ、聞き手によっても感じ方が異なるため、共通の音イメージを得ることは難しい。このことから、検索ツールの開発にあたっては感性情報の処理に重きを置き、擬声語や擬態語での検索の他、“さみしい"、"明るい"などの感覚的表現の属性を付加し、様々なポインタから指せるデータ構造にした。・音源をジャンルによって分類し、分類項目及び音源をイラストで表現する方法をとった。また前述の感覚的表現もイラストで表した。これらの方法を使うと、小学校低学年でも検索が容易できることが明らかになった。〈言語の音声情報検索システム〉・日本語の学習用音声辞書を想定して検索システムを設計試作した。この検索システムでは国語辞典の見出し語による検索を実現した。また、イラストによる検索が有効であることが確かめられ、見出し語のイラスト化も完了した。現在イラストを使ったジャンル別シーンによる検索が可能なシステムの基本設計が終了し、試験システムの開発と評価が今後の課題として残されている。

言及状況

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こんな研究ありました:教授資料用 音声デ-タベ-スの構築と検索ツ-ルに関する研究(小松 幸廣) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/05451145

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