著者
市川 定夫
出版者
埼玉大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

本研究では、平成5〜7年度にわたり、ムラサキツユクサの雄蕊毛を用いて、(1)アルキル化剤の変異原性とX線との相乗効果、(2)除草剤として使われているマレイン酸ヒドラジドの変異原性とX線との相互作用、(3)大気汚染物質の変異原性、(4)自然突然変異頻度の変動などを調査するとともに、(5)新しい実験材料システムの開発についての研究も行ってきた。(1)に関する研究では、エチルメタンスルホン酸(EMS)、メチルメタンスルホン酸(MMS)、硫酸ジメチル(DMS)、N-エチル-N-ニトロソ尿素(ENU)、N-メチル-N-ニトロソ尿素(MNU)について調査し、それぞれの変異原性を確かめるとともに、EMS、MMS、DMSとMNUがX線と明らかな相乗効果を示すことを確かめた。(2)については、プロミュータジェンであるマレイン酸ヒドラジド(MH)がムラサキツユクサの細胞内で活性化されて変異原となること、MHがX線と相乗的にも相殺的にも働くこと、MHの活性化にはペルオキシダーゼが関与しており、X線がこの活性化を抑制すると相殺効果が、抑制しなければ相乗効果が現れることを明らかにした。(3)の研究では、ガス曝露装置を用いて、窒素酸化物を窒素中で処理したり、空気/窒素混合気体中で処理したりしたが、安定した結果は得られなかった。オゾン処理については、オゾン発生装置を完成し、現在実験中である。(4)については、安定株でも、温度条件によって自然突然変異頻度がある程度変動することを確かめた。また、(5)についても、培養液循環環境制御栽培装置で栽培したBNL4430株の根付き植物を実験材料とするのが最も有効であることを確かめた。

言及状況

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ムラサキツユクサを用いた環境変異原のin situモニタリングの基礎研究 https://t.co/GvFHbYZ4wE (2)除草剤として使われているマレイン酸ヒドラジドの変異原性とX線との相互作用 マレイン酸ヒドラジド(MH)がムラサキツユクサの細胞内で活性化されて変異原となる MHがX線と相乗的にも相殺的にも働くこと
ムラサキツユクサ ムラサキツユクサを用いた環境変異原のin situモニタリングの基礎研究https://t.co/G5hiMR8eXj (3)大気汚染物質の変異原性   窒素酸化物を窒素中で処理したり、空気/窒素混合気体中で処理したりしたが、安定した結果は得られなかった

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