著者
宮崎 雅人 倉地 真太郎 古市 将人 安藤 道人
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は戦前の日本を対象とした都市財政研究の限界を踏まえ、歴史的にも貴重な都市歳入歳出決算書(市政専門図書館所有)のデータを用い、中小都市も射程に入れた戦前日本の地方財政の全体像はどのようなものであったかを明らかにしようという試みである。具体的には、都市決算データを用いた記述統計分析によって六大都市以外の都市の特徴を明らかにするだけでなく、デジタル化した資料を元に都市パネルデータを構築した上で、戦前日本におけるいくつかの重要な制度の導入・変更や政策実施の財政的な影響や、社会に与えたインパクトを記述統計分析と計量経済学的分析によって明らかにする。
出版者
埼玉大学
巻号頁・発行日
2018

identifier:学位記番号 : 博文化甲第26号
著者
坂西 友秀
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

研究は、次の3点に焦点を当てて行った。(1)「人種ステレオタイプの経年変化を明らかにするために、1998年と2006年の学生の実験データを比較し、分析した。その結果、依然として多くの実験参加者は、伝統的な「人種」ステレオタイプを強く持っていた。「人種」デフォルメされた絵本「ちびくろさんぼ」の挿絵を5割の実験参加者が好み、ストーリーにふさわしい絵として選択した。また、1998年の実験では、年齢の高い社会人は学生に比べ、「人種」ステレオタイプを強く持つことが明らかになった。学生では、1998年と2006年の間に「人種」ステレオタイプの有意な減少は認められなかった。(2)日本における「人種」「民族」差別・偏見の歴史的背景を、社会心理学の視点から考察した。民族差別・偏見と民族のアイデンティティ形成の問題は、日本の旧植民地韓国における「創氏改名」を取りあげ分析を行った。また、日本の「黒人」差別の問題は、戦後の日本人女性とアメリカ人兵士の問に生まれた「混血児」問題を取りあげて分析を行った。(3)現代のマイノリティに対する偏見は、「障害者」に対する態度の調査を実施し分析を行った。ほとんどの学生は、自らはマイノリティに対して差別することはなく、偏見も持っていないと回答した。しかし、社会一般の人は、マイノリティに対して差別し、偏見を持つと回答する割合が高かった。これらの結果を統合し、心理-歴史的視点から、現代日本の「人種」「民族」ステレオタイプと偏見の形成過程と現状を報告書にまとめた。
著者
谷 謙二
出版者
埼玉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、時系列的な地図データを扱うソフトを開発し、データを整備することによって、教育現場でのGISの活用を目指した。平成17年度では、ラスター型の時系列地形図閲覧ソフト『今昔マップ』(首都圏編)を開発し、教員を含めて200部ほどを配布した。このソフトは平成19年2月に行われた日本地理学会地理教育専門委員会主催の講習会でも使用され、好評を博した。平成18年度には、「昭和の大合併」以前の市区町村境地図データの整備を行った。地図データは昭和5年前後に発行された1/50,000地形図をもとに作成し、昭和20年代までの「昭和の大合併」以前の国勢調査等の市区町村別統計データを地図化できるようにした。整備の手順としては、3大都市圏の範囲で地形図ごとに白地図画像を作成し、筆者開発の「MANDARA」の白地図処理機能を用いてベクトルデータに変換し、その後にそれぞれの地形図の領域を結合していった。平成18年度中に、三大都市圏のうち首都圏分についての地図データが完成し、ホームページで公開した。また、明治期の埼玉県の町並を知る貴重な資料である『埼玉県営業便覧』を用いて、埼玉県の町の商店の業種構成を分析し、前述の地図データで地図化した。この研究成果は、小学校・中学校における身近な地域の歴史学習などにも利用できるであろう。
著者
大塚 秀高
出版者
埼玉大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

江戸時代に、佐伯藩第八代藩主毛利高標が城中に創設した文庫にたくわえられた漢籍の一大コレクション、いわゆる佐伯文庫本は、そのほぼ半数が高標の孫の高翰の代に幕府に献上され、江戸城中の紅葉山文庫、ならびに昌平坂学問所・江戸医学館に分蔵された。この献上本は、明治維新以後いくたの変遷をへたが、今も独立法人国立公文書館附設の内閣文庫と宮内庁書陵部に、九割以上が遺されている。ところが、佐伯藩に残された非献上書の行方については、これまでよくわかっていなかった。非献上本は、幕末まで手厚く保存されていたようだが、維新後散逸する。きっかけは、文部省が、各府県から旧藩襲蔵書の目録を提出させ、そこから「聚珍書目一覧表」を作ろうとしたこと、にあった。明治四年のことである。各府県はきそって旧藩の蔵書を集めて目録化し、文部省に提出した。誕生したばかりの後の国会図書館、当時の書籍館は、自らの和漢書不足をこのリストから採選することによって補おうと考え、さっそくそれを実行に移した。この結果、国会図書館には今なお3種の存疑本を含む24種の佐伯文庫本が遺されている。このおり大分県に留め置かれた佐伯文庫本もあったが、洋書5種をのぞき、それらは戦災で焼失した。また、書籍館による採選の後、県下ならびに毛利家に留め置かれた佐伯文庫本の多くは、売却処分に附されたらしい。そして、その多くを購入したのが方功恵であって、方功恵に購入された佐伯文庫本は、再度海を渡り、多くは中国に戻ることになった。現在中国国家図書館・北京大学図書館などに蔵されているものがそれである。今回報告書の第一分冊として作成した「佐伯文庫旧蔵畳現存書目録(漢籍之部)」は、佐伯文庫本の、現所蔵機関をも明らかにしたユニオンカタログであり、第二分冊として作成した「方功恵碧琳瑯館旧蔵書総合目録(第二稿)」は、方功恵旧蔵書のユニオンカタログである。
著者
高柳 敏幸
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

放射線照射によって生成する2次電子のエネルギーがイオン化エネルギーより低い場合でも生体損傷を起こすことが最近指摘されている。本研究課題では、低エネルギー電子による生体分子の損傷過程を分子レベルで解明するために、理論的な立場から研究を行った。水や極性分子による余剰電子の束縛機構を理論的に明らかにし、軽い原子の核量子効果の重要性を指摘した。また、低エネルギー電子による多原子分子の解離性電子付着過程の断面積を計算する計算コードを開発した。
著者
平原 裕行 川橋 正昭
出版者
埼玉大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

本年度は,人の動きを各地で取材して,動きのパターンを区分し,最適な解析手法について検討した.取材は,大宮駅改札前,および東京都,新宿交差点付近を対象にしている.取材の結果は,個別の対象物体の動きに変化が大きく,動画像解析においては,集団運動の解析は,非常に困難で,物体個別の解析が必要であることが明らかとなった.これとは,並行して,人の流れのモデル化をより一般的に調べるため,魚の動きを捉えて,その座標位置の時間的変化から,数密度,速度の時間的変動を調べた.魚としてはメダカを取り上げ,メダカの光に対する逆光性と個々のメダカの位置取りが平面的であることを利用して,二次元の生物流の観察を行なった.実験に際しては,既存の大型水槽を改良して,中央流路が狭くなっている流路を用い,一方から,他方へ移動する群れの様子を,ビデオカメラで撮影し,これをPC上で解析した.運動解析は,各時刻のメダカの重心位置をトレースする方法を用いた.解析の結果,メダカの運動は,かなり変動が大きいものの,流路が狭まると,速度が減少し,密度が増加する傾向が見られた.これは,通常,言われているように,生物の流れが基本的には超音速流れに類似していることを示している.しかしながら,狭まり部から先の運動に関しては,必ずしも超音速流れとの類似点は見られなかった.以上より,運動力学上の重要なデータが得られた.更に,数値シミュレーションでは,単純な粒子運動モデルを作成し,粒子分子ポテンシャルと,運動ポテンシャルを与えて,シミュレーションを行ない,単一流路幅での運動で,ランダムウォークを示すシミュレーション結果が得られ,シミュレーションの基本スキームを確立した.
著者
田代 美江子 艮香 織 渡辺 大輔
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

成果の第1は、1970年代以降の性教育の動向をふまえたうえで、性教育研究グループの会員を対象とした量的調査によって、現在の性教育実践の実態とその課題を明らかにしたことである。第2に、性教育実践の有効性を検証する方法を検討し、具体的な実践と結びついた形で、生徒への事前事後調査、インタビュー、感想分析などを行うことによって、性教育の効果を実証的に提示した。第3に、第2の成果を、授業研究、教材開発に結びつけ、実際に中学生および高校生の性教育プログラムを作成した。
著者
山中 信彦
出版者
埼玉大学
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.165-226, 2006-03-31

朝日新聞記事コーパスに基づいて「強姦」及びその言い換えの用法を分析した。まず、1999年の「強姦」を含む記事133件と「レイプ」を含む記事92件を比較し、「強姦」は「レイプ」に比べ、記事レベルでは(1)外国を舞台にしたものが少ない(2)記事類型が報道に偏っている(3)個別犯罪事件をテーマにしたものが多いこと、用例レベルでは(1)見出しに含まれる率が高い(2)自立度の低い統語形式で使われる傾向が強い(3)受動形で使われる率が低いことを見出した。次に、「強姦」の用法の経年変化を調べるため、1999年のデータと2004年の3か月分の記事123件を比較した。2004年は1999年に比べ記事件数が倍増し、記事あたりの用例数が三割増えている。「強姦」が地の文の中で使われる割合は2004年の方が多いが、これは特にサ変動詞において顕著である。これらの事実は、現在「強姦」がより大胆に使われつつあることを示唆する。最後に、「乱暴」「暴行」が性暴力の意味で使われているかどうかをいかにして判断しうるのか、という問題を考察するため、1989年の「乱暴」「暴行」両方を含む98件の記事を調べ、性暴力の場合にはそれらしい状況の記述や常套語句、そうでない場合には当事者たちの性別や暴行の様態の記述、などの文脈情報によって、ごく稀な事例を除いて一義的に解釈できることを見出した。
著者
大塚 秀高 高田 時雄 原山 煌 樋口 康一 牧野 和夫 森田 憲司 庄垣内 正弘 浅野 裕一 赤尾 栄慶 高山 節也
出版者
埼玉大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

(1)研究集会の開催:班の研究テーマである「出版文化論研究」を念頭に、班長の筆者により、複数回研究集会が企画・開催された。ちなみに、平成16年度の研究集会の概要は以下のようになっている。平成16年5月14・15の両日、14日は京都国立博物館の講堂、15日は京大会館の会議室を会場とし、C班と共催で企画・実施(七条学会)。七条学会のテーマは、京都国立博物館で開催中の「南禅寺展」にちなんだ仏教関係の研究と、班員共通の研究対象であるアジアの特殊文庫とした。D班の発表者は、計画班で牧野和夫と筆者大塚秀高、公募班で西村浩子と中見立夫であった。七条学会の開催をきっかけに、班員の間に、相互の研究テーマに対する認識が一層深まった。そもそもD班とC班は、平成13〜14年度に筆者大塚が代表を兼ねていたため、メンバー相互間に交流があり、D班公募班の高橋章則・高倉一紀・西村浩子などは、現C班代表の若尾政希が主催する研究会「書物・出版と社会変容」研究会で報告をしている。また、G班公募班の松原孝俊が開催した第4回海外所蔵日本資料データベース会議に、D班の高田時雄・中見立夫ならびに大塚が参加し、高田と大塚は報告を、中見は司会をつとめた。(2)調整班会議の開催:後半2年間にあっては、第1回調整班会議を平成15年11月28目におこなわれた第3回「東アジア出版文化に関する国際会議」にあわせて開催し、上記の七条学会につき協議した。第2回は七条学会の当日に開催し、第3回は6月26・27の両日、沖縄那覇で開催された平成16年度第6回研究集会のおりに開催した。(3)その他:班長である大塚は総括班会議に出席し、必要な情報についてはメールで班員に伝達した。また、総括班会議でニューズレターを班ごとの特集号とするよう提案し、第6号をD班特集号とした。第6号に各自の研究テーマに関する文章を寄せた者は、計画班で大塚秀高・原山煌・牧野和夫・森田憲司の4名、公募班で蔵中しのぶ・高橋章則・中見立夫・西村浩子の4名の、あわせて8名であった。また調整班の成果報告書を作成し、班員に配布した。
著者
高柳 敏幸
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

放射線照射によって生成する低いエネルギーを有する2次電子が生体損傷を引き起こすことが指摘されているが、その動力学機構はほとんどわかっていない。本研究課題では、低エネルギー電子による生体分子損傷の反応動力学について、理論的な立場から研究を行った。塩基ペア等への余剰電子の束縛機構を量子化学計算によって明らかにし、さらに分子系の全自由度を量子力学的に取扱う動力学シミュレーションも行った。これにより、損傷ダイナミクスを実時間で追跡できるようになった
著者
Cagri Yalgin
出版者
埼玉大学
巻号頁・発行日
2012

identifier:学位記号番号 : 博理工甲第877号
著者
DILIBAIER AILI
出版者
埼玉大学
巻号頁・発行日
2015

identifier:学位記番号 : 博文化甲第21号
著者
市川 定夫
出版者
埼玉大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

本研究では、平成5〜7年度にわたり、ムラサキツユクサの雄蕊毛を用いて、(1)アルキル化剤の変異原性とX線との相乗効果、(2)除草剤として使われているマレイン酸ヒドラジドの変異原性とX線との相互作用、(3)大気汚染物質の変異原性、(4)自然突然変異頻度の変動などを調査するとともに、(5)新しい実験材料システムの開発についての研究も行ってきた。(1)に関する研究では、エチルメタンスルホン酸(EMS)、メチルメタンスルホン酸(MMS)、硫酸ジメチル(DMS)、N-エチル-N-ニトロソ尿素(ENU)、N-メチル-N-ニトロソ尿素(MNU)について調査し、それぞれの変異原性を確かめるとともに、EMS、MMS、DMSとMNUがX線と明らかな相乗効果を示すことを確かめた。(2)については、プロミュータジェンであるマレイン酸ヒドラジド(MH)がムラサキツユクサの細胞内で活性化されて変異原となること、MHがX線と相乗的にも相殺的にも働くこと、MHの活性化にはペルオキシダーゼが関与しており、X線がこの活性化を抑制すると相殺効果が、抑制しなければ相乗効果が現れることを明らかにした。(3)の研究では、ガス曝露装置を用いて、窒素酸化物を窒素中で処理したり、空気/窒素混合気体中で処理したりしたが、安定した結果は得られなかった。オゾン処理については、オゾン発生装置を完成し、現在実験中である。(4)については、安定株でも、温度条件によって自然突然変異頻度がある程度変動することを確かめた。また、(5)についても、培養液循環環境制御栽培装置で栽培したBNL4430株の根付き植物を実験材料とするのが最も有効であることを確かめた。
著者
岡崎 勝世
出版者
埼玉大学
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.1-63, 2006-03-31

紀要掲載論文に著者が修正を加えたもの