著者
花井 一夫
出版者
名古屋大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

1.黄体化ホルモン(LH)に対するモノクローナル抗体(Spac LH RIA kit)を用いた免疫学的測定法にて、血清LHが測定不能であった5例の患者より採血し、リンパ球を分離後、ゲノムDNAを抽出した。polymerase chain reaction(PCR)法で、このゲノムDNAよりLHbeta鎖DNAの各エクソンを増幅した。アガロース電気泳動法により増幅された各エクソンの大きさを正常LH遺伝子と比較したが、明かな遺伝子の欠損は認められなかった。2.TA-cloning kitを用い、増幅されたLH-beta鎖のDNAをクローニングした。各クローンDNAに塩基配列をシークエンシングしたところ、トリプシン^8(TGG)がアルギニン(CGG)に、またイソロイシン^<15>(ATC)がセレオニン(ACC)に変異していることが明かとなった。3.これらの変異により、制限酵素の切断部位が変化することが明かとなったので、患者家族のゲノムDNAも同様に処理し、restriction-fragment-length polymorphism法により遺伝子異常の有無を調査した。その結果、患者家族内にheterozygoteの存在が明かとなり、遺伝的経路も解明された。さらに、免疫学的測定法により、heterozygoteはその血清LHの測定値が正常者の約半分であることが観察された。4.この変異LHの生物学的活性を、マウス精巣細胞を用いたin vitroにおけるテストステロン産生能により測定したが、正常LHとの間に差異は認められなかった。

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