著者
松田 聡
出版者
徳島大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

[目的]アナンダミドは、カンナビノイド受容体の内因性リガンドとしてブタ脳より単離され、構造はアラキドン酸のエタノールアミドである。最近、アナンダミドの薬理作用が注目されているが、眼に及ぼす影響については、ほとんど解明されていない。今回われわれは、アナンダミドの眼、特に眼圧に及ぼす影響について検討した。[方法]体重2.0-2.5kgの雄白色家兎を使用し、日照時間などの環境因子による眼圧の変化を考慮し、照明時間や温度の管理された環境下で飼育した。対照実験としてバルミチン酸エタノールアミド(アナンダミドのアラキドン酸部分を飽和脂肪酸に置き換えたもの)を使用した。投与方法は、50mlのミネラルオイルに溶かした各種薬剤を片眼に点眼し、他眼には対照液を点眼した。その後ウサギを覚醒状態で点眼麻酔し、眼圧を経時的に測定した。角膜、虹彩、結膜の症状についても経時的に細隙灯下に観察した。[結果]150mgから1mgのアナンダミドの点眼により点眼1時間後から対照眼に比べ、眼圧が有意に下降し2時間後には最低値に達した。その効果は点眼7時間後まで持続した。バルミチン酸エタノールアミドには眼圧下降作用は認められなかった。細隙灯検査ではアナンダミドの点眼で充血をきたし、その程度は眼圧の変化と同様に2時間後で顕著であった。[結論]アナンダミドは用量依存性に眼圧下降作用があり、新しい緑内障治療薬としての可能性が示唆された。

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