著者
加藤 茂明 今井 剛
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

ステロイド・甲状腺ホルモン、ビタミンA・D核内レセプタースーパーファミリーは、リガンド誘導性転写制御因子であり、リガンド結合依存的にリガンドのもつ信号を遺伝情報に伝達する。核内レセプターが基本転写因子群とともに転写を促進する際には、これら2者間を機能的に介在し、両者に直接結合されている転写共役因子群の存在が知られている。更に現在までに同定されている転写共役因子と核内レセプターの相互作用は、リガンド活性とほぼ相関することもわかっている。そこで本研究では、核内レセプターによる転写促進能の分子メカニズム解明を目的に、核内レセプターと相互作用する新規共役因子を検索した。またリガンド結合によるレセプターの立体構造変化の可能性についても探った。その結果、ビタミンDレセプター(VDR)に特異的に相互作用する転写共役因子の同定に成功した。これらの因子は核内カルシウム結合タンパクであり、またVDRとの相互作用はカルシウム存在量によって左右されることがわかった。現在これら新規因子と、既に同定されている共役因子群との相互作用についても現在解析しているところである。また同様にエストロゲンレセプター、ミネラルコルチコイドレセプターとの共役転写因子群の同定を急いでいる。またエストロゲンレセプターのリンガド結合による構造変化を調べたところ、レセプターN末端とC末端が、リガンド依存的に相互作用し、かつこの相互作用には共役因子が関与することが明らかになった。

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