著者
藤原 宏志 宇田津 徹朗 大平 明夫 柳沢 一男
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

土器胎土に含まれるプラント・オパールを検出する方法は、当該土器が製作される以前、土器製作地に検出プラント・オパールの給源植物が存在したことを立証する有効な方法である。本研究では、土壌および土器胎土に含まれるプラント・オパールを検出し、イネ(0ryza satival L)をはじめ、イネ科作物の栽培起源の追究を試みた。以下に、その大要を述べる。*縄文時代早期--鹿児島:上野原遺跡におけるテフラ(BP9000)直下の土壌試料からイヌビエ(Echinocloa属)のプラント・オパールを検出した。イヌビエと栽培ビエは極めて近縁であり、両者とも食用になる。当該遺跡では集落跡が確認されており、ヒエの粗放栽培が始まっていた可能性も充分考えられる。*縄文時代前期--青森:三内丸山遺跡出土の土器胎土分析の桔果、イヌビエのプラント・オパールが大量に検出された。遺跡が大規模集落であることを考えると、ヒエ栽培の可能性も視野に入れる必要があろう。*縄文時代後期--岡山:岡山大学構内遺跡出土の土器および岡山:南溝手遺跡出土の土器胎土分析の結果、イヌビエのプラント・オパールが検出された。これらの土器は約3500年前に製作されたものであり、同時代すでに西日本で稲作が行われていたことを証すものであろう。また、長崎:稗日原遺跡では、縄文時代後期に堆積したと考えられる火山灰(六ツ木火砕流:約3600年前)の直下からイネのプラント・オパールが検出された。これらのイネは、その随伴植物および遺跡の立地から畑作で栽培されたものとみるのが妥当と思われる。

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