著者
安部井 誠人
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

現在,コレステロール(以下,Ch)胆石症に対する溶解療法(経口胆汁酸療法)の成功率は低く長期間を要することから,より有効な薬物療法の開発が望まれる.我々は,魚油(エイコサペンタエン酸;EPA)が胆汁中レシチンを増加させCh結晶析出を抑制することによりCh胆石の予防効果を発揮することを見出した.本研究ではEPAがCh胆石に対して治療効果をも有するのではないか,との仮説に基づき,魚油(EPA)の胆石溶解効果を臨床的および実験的に探究することを目的とした.まず,「ハムスター胆石モデルにおけるEPAの胆石溶解効果の実験的検討」を行った.その結果,催石食+EPA群では,催石食単独群に比し,胆汁中レシチンの増加とともに,胆石総重量の有意な減少が認められた.次に,「胆石患者におけるEPA投与の臨床効果」を検討した.その結果,EPAの6ヶ月間の経口投与が,治療前に比し,胆汁中の催石性指標(Ch過飽和度およびCh結晶析出時間)を顕著に改善することが判明した.さらに,EPAの投与を長期間(一年以上)継続した結果,2例に完全溶解,1例に部分溶解を認めた.以上,本研究により,初めて魚油(EPA)のCh胆石溶解効果が実験的ならびに臨床的に明らかとなった.動脈硬化血栓症や高脂血症の治療に広く使用されている魚油(EPA)に「Ch胆石症に対する治療効果」という新たな臨床的意義が見いだされた.

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