著者
佐保 賢志
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本年度の研究では、前年度に提案したUWBドップラーレーダ干渉計法を、複数人体・複数目標へ適用する手法を検討した。まず2人の歩行人体が同時に計測される場合において、ドップラーレーダイメー一ジの判別分析に基づく両人体の分離識別法を提案した。提案手法は、得られたイメージと受信信号電力に基づき、各人体のイメージから教師データを計測毎に抽出し、得られた教師データを用いたサポートベクターマシンを適用する。提案手法を実環境下に適用した結果、ドップラー効果の利用のみでは分離識別が困難なほぼ同速度で歩行する2人体の分離識別に、95%の確率で成功した。本成果は判別分析技術とレーダイメージング技術の融合であり、両者の適用範囲を広げることにも貢献した。続いて、UWBドップラーレーダ干渉計を3人以上の目標に適用し、その特性を調べた。その結果、各人体のわずかな運動の変化に基づき、観測範囲内の4人程度の歩行者をイメージングすることができた。次に、これらの歩行者の分離並びに人数推定のため、得られたイメージのクラスター分析を行う手法を提案した。提案手法により、2~4人の人体の人数推定が実現した。この成果により、通常の会議室や交差点などにおいても、レーダによる監視技術が適用可能となり得ることを示した。さらに、複数目標を分離・追跡するのみでなく、詳細な形状の情報を把握する手法を提案し、数値計算によりその有効性を実証した。提案手法では追尾フィルタにより各目標の運動推定を行い、UWBレーダで得られた散乱点軌道を推定運動で保証することで形状推定を実現する。同手法により、人体の両腕及び胴体を仮定した目標の高精度イメージングが実現し、レーダによる人体識別のさらなる高度化が期待できることを確認した。

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