著者
岡野 訓尚
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本研究の目的は, マルチエージェント系を含む通信が中心的な役割を果たす制御糸を対象に, 通信路を介して伝達される情報や, 制御対象の動特性を表すモデルに不確実性がある場合を想定し, これらの不確実性がシステムの挙動に及ぼす影響を理論的に解析することである. 昨年度までに, システムの安定化(または合意)を達成するために必要/十分な通信ビット数と通信障害の発生確率の限界を導出し, これらの安定化限界が不確実性によってどう変動するかを明らかにした. 本年度の主な成果は以下の2点となる.(1)昨年度に構築したシステムモデルを, より一般的な枠組みに拡張し現実的な問題設定に近づけた. 具体的には, 制御対象のモデルについて, これまで既知としていたアクチュエータ側のパラメータにも不確かさがある場合を扱えるようになった, さらに, 通信される情報の不確実性についても, ある期間に集中的に通信障害が発生する場合を表現できるように障害の発生モデルを一般化した.(2)システムの安定性に加え, 収束速度についても解析を行った. Markov Jump Linear Systemsの結果を基に, 状態の収束速度が, ある行列のスペクトル半径で評価できることを示した. これにより, 安定化限界を満たしている場合にっいても, 不確実性が収束速度をどの程度悪化させるかを評価することができるようになった.以上の成果の一部を, 学術論文誌や国際学会に投稿し2編の採録が決定したほか, European Control Conference (7月, Zurich, Switzerland)にて発表を行った. 本発表はBest Student Paper Award Finalistとして選出される評価を受けた.

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