著者
柳井 秀雄 檜垣 真吾
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

平成13年度および14年度の研究により、以下の成績を得た。残胃癌において、約4割と非常に高率のEBウイルス感染を検出し、極めて重要な成果として、英文誌に報告した(Scand J Gastroenterol 2002)。慢性胃炎・胃癌症例について、胃内視鏡検査時に被験者への十分な説明と承諾のもとに、通常の診断目的の生検に加えてシドニーシステムによる胃粘膜5点生検を行い、EBウイルスDNAのBamHI-W断片をリアルタイム定量PCR法にて検出し、ウイルス感染の有無、胃内分布と感染コピー数、の検討を行った。その結果、65.7%の症例において、胃生検切片からEBV DNAが検出された。胃粘膜よりのEBV DNA検出は、中等度の萎縮性胃炎例の萎縮中間帯に有意に高頻度であった(論文投稿中)。胃癌手術例での、EBウイルス感染細胞に多数存在るEBV encoded small RNA1 (EBER1)に対するoligonucleotide probeを用いたin situ hybridizationでは、EBウイルス関連胃癌は、胃体部の胃粘膜萎縮境界近傍に存在していた。胃癌120病巣におけるEBER1 ISHによる検索では、EBV関連胃癌は、内視鏡的粘膜切除を行った54病巣には見られず、外科手術の66病巣中3病巣(5%)を占め、胃型の粘液形質と関連を有していた(論文準備中)。これらの結果より、EBVは、慢性萎縮性胃炎の経過において中等度の萎縮の進展に伴い萎縮境界近傍に感染し、発がんに関与するものと推定している。これらの成果を含めて、画期的な邦文成書「EBウイルス」(監修:高田賢藏、編集:柳井秀雄・清水則夫)を編集し、発刊予定である(診断と治療社、東京、2003年6月予定)。

言及状況

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引き続き、慢性胃炎の発生と解決できることを投稿します。 慢性胃炎が前癌状態である理由とその後の流れを説明します。 何らが感染している胃の粘膜の細胞が異物性を表現するため ⇒この感染細胞を異物として白血球が破壊し続けて慢性胃炎が起きます。 それが進行すれば萎縮性胃炎となり ⇒胃の噴門まで進み胃酸が逆流することも合わせ逆流性食道炎ともなります。 いずれも癌が生じる状態ですので前癌状態と ...
そうでしょうね、慢性胃炎は白血球が胃の粘膜細胞を異物として破壊しているものですが、医師も充分には知らずそのような説明はされないはずです。 白血球が悪い訳ではなく、胃の粘膜細胞が異物性を表現しているためです。 なぜ異物性を表現しているのかは少し書きましたが、EBウイルスが感染しウイルス蛋白が表現される場合、感染細胞を異物とみなして排除するために白血球が傷害しているということです。 そのウ ...

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