著者
鈴木 博章
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究では蚊を模倣した超低侵襲微小血糖値分析システムの実現を目的とした。このシステムは、血糖値(グルコース)測定用マイクログルコースセンサ、サンプリング機構、微小針から構成される。本研究ではサンプリング機構につき重点的に検討を行い、特に夜間などに長時間かけて徐々に吸引できるものをめざした。上記のサンプリング機構を実現するために、poly(N-isopropylacrylamide)/acrylic acid共重合ゲルに酵素(グルコースオキシダーゼ)を包括したものを作製した。酵素反応に伴うpH変化をゲルの体積変化の駆動力とした。ゲルの体積変化はシリコーンゴムダイヤフラムを介し、微小流路内の圧力変化に変換され、サンプル溶液が吸引・排出される。センサ作用極上には、妨害物質の影響を低減し、測定可能な濃度範囲を拡張するため、Nafion膜およびpolyHEMA膜を形成した。サンプリング機構は約10時間にわたり、ほぼ一定の流量で外部液を吸引することができた。Nafion膜被覆グルコースセンサの選択性を調べたところ、グルコース比で、アスコルビン酸に対し約1%、尿酸に対し約1%、アセトアミノフェンに対し約33%の応答が認められ、Nafion膜により妨害物質の影響を低減できることが示された。また、polyHEMA膜を拡散制限膜として形成することにより、微小流路中で測定した場合の検量線の直線範囲が30mM付近まで拡張された。微小針を緩衝液を充填したチューブに刺して緩衝液を吸引させ、その後さまざまなグルコース溶液の充填したチューブにシステムを刺し変え、これに対する応答を連続的に調べた。グルコース濃度の変化に対する明瞭な電流値の変化が認められ、このシステムが実際に機能していることが確認できた。

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