著者
若山 照彦
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

我々はクローン動物および体細胞由来ntES細胞を効率よく作出する方法の開発および初期化のメカニズムの解明を試みている。昨年我々はntES細胞と受精卵由来のES細胞には違いが見られないことを証明したが、19年度はさらに詳しい比較と倫理問題の解決を試みた。我々は核移植の影響を調べるために、単為発生ES細胞を用いた遺伝子発現解析法を確立し、これによってついに我々は特定の遺伝子におけるメチル化状態について、ntES細胞とES細胞の間に違いがあることを発見した。現在このntES細胞特異的なDNAメチル化状態の違いが、その後の細胞分化や応用にどのような影響を与えるのか解析中である(Hikichi, et. al., 2007,2008)。一方倫理問題の解決については2つのアプローチを試みた。体外受精に失敗した卵子は、加齢により質が低下することから廃棄されている。この廃棄卵子を用いれば健康な女性から卵子を提供してもらうという倫理問題は解決する。そこでマウスを用いたモデル実験を行った結果、体外受精に失敗した卵子でも核移植およびntES細胞の作成には問題ないことを明らかにした(Wakayama, et. al., 2007a)。この成果は多数の全国紙やテレビで紹介された。また、胚を殺さずに1割球(細胞)を取り出し、そこからES細胞を樹立する手法を開発し、生命の萌芽である胚を壊すという問題についても回避できることを明らかにした(Wakayama, et. al., 2007b)。他に核移植技術をより簡素化した手法についての研究も報告した(Kishigami, et. al., 2007;Wakayama, et. al., 2008)。

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編集者: Assemblykinematics
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