- 著者
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高橋 秀典
- 出版者
- 東邦大学
- 雑誌
- 挑戦的萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2015-04-01
本研究の実験材料は、特定外来生物に指定されている水生植物のナガエツルノゲイトウである。ナガエツルノゲイトウの茎は中空であるため、回収駆除の過程で容易に断片化して流失する。問題なのは、ナガエツルノゲイトウは茎断片からの個体再生力が非常に高いことである。この強い繁殖力によりナガエツルノゲイトウは河川や水田等で繁茂し、日本のみならず世界で生態系および農水産業に悪影響を与えている。本研究ではナガエツルノゲイトウを用いて、これまでに主に茎断片からの個体再生における光の役割に関して研究を行ってきた。平成29年度は、茎断片からの個体再生がそもそもどのような仕組みにより引き起こされているのかという疑問を解決するため、植物において形態形成や発生、環境応答、遺伝子発現など様々な現象に関わる重要な因子である植物ホルモンが、茎断片からの個体再生において果たす役割を調べた。様々な形態のナガエツルノゲイトウの茎断片を用意し、まず、植物ホルモンを添加しない状態で培養し、芽や根の発生の様子を観察した。その結果、ナガエツルノゲイトウの茎断片からの芽の発生には、断片にはなっていない一般の植物個体でみられるような芽の発生と似た仕組みが存在している可能性が高いことがわかった。そこで次に植物ホルモンを添加した状態で、同様に様々な形態のナガエツルノゲイトウの茎断片を培養し、芽や根の発生の様子を観察した。その結果は、ナガエツルノゲイトウの茎断片からの芽の発生には一般的な植物個体と同様の機構が関与している可能性が高いという、前述の考えを支持するものであった。