著者
寺尾 京平
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、臓器を物理的に切断し、1細胞サイズまで微小分割することで、立体的な臓器を空間的に「3次元分解」する新たな解析技術の確立を目指す。シリコンナノ加工技術により実現した独自技術であるシングルセルの一括切断技術をベースに、脳・腎臓等の様々な臓器を細胞レベルまで空間的に分割することで、多様な組成をもった微小臓器断片を得る。本年度以下の3項目について実験技術の構築と検証を行った。(1)生体から摘出した臓器を物理的に分割する刃状構造体(ナノブレード)を有した空間分画デバイスの製作:マウス臓器スライスをターゲットとして貫通孔を有したナノブレードアレイの作製条件、及び構造解析により強度に関する検討を行った。結果として、シングルセルサイズの貫通孔を有した様々なブレードアレイデバイスを完成させるとともに市販容器との適合性を考慮したチップ形状を実現した。(2)臓器サンプルへの正確なアプローチと確実な切断を実現する切断・送り機構の構築:押圧時に空間分画デバイスを臓器に確実にコンタクトさせるため、ナノブレードを保持する機構について開発を行った。また、操作性向上のためアタッチメント式で交換が容易なブレードデバイス脱着機構を考案した。(3)モデル臓器であるマウス脳・腎臓スライスを利用した空間分画の原理実証とイメージングによる分画状態の検証:マウス脳スライスをサンプルとして、空間分画を行い、各区画への薬液吐出時に隣接区画にリークがないことを確認し、それぞれの区画が独立した溶液層として利用できることを示し、細胞ライセートの逐次回収を実現した。

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