著者
小幡 圭祐
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2016-04-22

本研究は、薩摩藩出身の政治家・大久保利通の国家構想と大久保が長官を務める内務省の制度・政策を解明することで、明治初年に近代国家形成の基礎を構築したとされる「大久保政権」の位置づけを解明し、日本近代史研究に理論的な貢献をすることを目的としている。平成30年度においては、⑤地方三新法を巡る内務省と地方官、⑥明治憲法体制の確立過程についての分析を行うため、⑤については、国立国会図書館憲政資料室・大分県公文書館などが所蔵する、地方三新法の起草や地方勧農政策に関する未刊行史料を、⑥については、国立国会図書館などが所蔵する、井上馨・大久保利通・伊藤博文ら国家建設当事者に関する未刊行史料を網羅的に収集した。分析結果は以下の通りである。⑤地方三新法を巡る内務省と地方官前年度の④で解明した明治10年の中央行政改革は、内務省への地方管轄権一元化を志向した地方行政改革としての性格も併せ持っていたことを明らかにした。その成果は、④の成果とあわせて東北史学会・内務省研究会で発表を行い、雑誌論文を準備中である。また、内務省の改革志向性は、内務省によって任命された地方官の志向性とは必ずしも一致していなかったことを地方勧農政策の事例より展望した。この点については、研究発表・雑誌論文を準備中である。⑥明治憲法体制の確立過程日本において近代国家が明治憲法体制によって確立する過程が、井上馨・大久保利通・伊藤博文ら主要な国家建設当事者の国家構想の相克過程として位置づけられることを、明治4年の廃藩置県前後に行われた制度取調を事例に展望した。分析の成果は、『明治維新史研究』第16号に査読付論文「太政官三院制の成立過程―明治四年の制度取調―」として公表した。

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