著者
谷部 真吾
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は、本研究において事例として取り上げる3つのけんか祭りの現状を把握するために、富山県高岡市の伏木曳山祭を5月14日~16日に、兵庫県尼崎市の築地だんじり祭り9月15日~19日、静岡県周智郡森町の森の祭り11月3日~6日に、それぞれ参与観察を行った。その結果、各祭礼が現在「穏やかに」運営されていることを確認した。また、伏木曳山祭が脱「暴力」化していった過程を明らかにするための聞き取り調査および新聞記事収集を、9月4日~11日に実施した。これによって、当祭礼が高度経済成長期に変容していったプロセスをより詳細に明らかにすることができた。また、戦後の日本の社会的・文化的状況や、その当時の地域社会の実態を理解するために、関連文献の収集・精読を行った。この作業を通して、各地のけんか祭りが似たような時期に脱「暴力」化していった理由を分析する際に必要となる、基礎知識を獲得することができた。さらに、最先端の研究動向を把握するために、日本文化人類学会第51回研究大会(5月27日~28日)ならびに日本民俗学会第69回年会(10月14日~15日)に参加した。なお、日本民俗学会では、研究発表も行った(発表タイトル:「批判されるけんか祭り ―高度経済成長期の伏木曳山祭(高岡市)を事例として―」)。加えて、祭礼研究を精力的に進めている江戸川大学の阿南透教授や、長野大学の中里亮平講師などと研究会を行ったり(4月29日、10月13日)、祭礼をテーマとした各種研究会、具体的には、第148回歴史地理研究部会(5月20日)、遠州常民談話会(9月30日)、第4回山鉾屋台研究会(10月13日)、現代民俗学会第40回研究会(12月17日)にも参加したりし、本研究のさらなる深化に努めた。こうした研究成果の一部を、論文「伏木曳山祭 ―熱狂と信仰と―」(阿南透(他・編)、『富山の祭り』、桂書房、2018年3月、pp.79-94)にまとめた。

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