- 著者
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長沼 誠
金井 隆典
- 出版者
- 慶應義塾大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2016-04-01
生薬青黛の主成分の1つであるイソインジゴはAryl Hydrocarbon受容体(AhR)のリガンドと考えられ、様々な免疫学的薬理作用が報告されている。AhRはILC3を介して炎症性T細胞の抑制効果を発揮し、作用機序に腸内細菌叢の関与も確認されていることから、イソインジゴの腸炎抑制作用も大いに期待しうる。すでに我々は、2016-2017年に多施設共同研究を行い、活動性潰瘍性大腸炎に対し用量の異なる青黛およびプラセボを8週間投与を行い、1日0.5g以上の青黛投与により、プラセボに比して有意に有効率、粘膜治癒率が高いことを報告してきた。しかしそのメカニズムについては明らかではない。さらに青黛投与による大腸癌抑制効果についても不明である。本研究では腸炎動物モデルを用いて青黛の腸炎抑制メカニズムと大腸癌抑制効果について検討を行っている。平成29年度は生黛成分のうち、含有率の高いindol, I3C に着目し、各々を経口投与し、急性腸炎モデルにて比較検討を行った。Indigo、I3C投与においては既報と異なり、DSS腸炎は抑制されなかった。青黛内の主成分の一つであるBetulin投与においてもDSS腸炎は抑制されない。一方でindol投与においては軽度の改善効果を認めた。無菌マウスにおける生体投与においてはDSS腸炎の抑制効果がキャンセルされるため、青黛投与で増加する菌叢にも着目した。青黛投与では特定の菌叢の増加を認め、青黛投与マウスにおける菌を抗生剤投与マウスに生着しDSS腸炎を検討したところ腸炎抑制効果を示した。また大腸癌抑制効果に関する検討では大腸癌が発生する前の早期の段階で青黛を投与しても大腸癌の腫瘍サイズの減少は認められなかったことより、青黛による予防投与は大腸癌予防の効果はないと考えられた。