著者
森田 栄伸
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

花粉に感作され、果物、野菜を摂取時に口腔アレルギー症候群を示すことは花粉-食物アレルギー症候群として知られている。研究者は、オオアワガエリやカモガヤなどのイネ科花粉に感作され、小麦製品の摂取によりアレルギー症状をきたす患者6名から血清を収集して、小麦抗原に対する免疫ブロットを行い、小麦水溶性分画に反応するIgEを保有していることを見出した。患者血清をあらかじめオオアワガエリ花粉抗原と混合処理をした後免疫ブロットを行ったところ、オオアワガエリ花粉抗原の濃度に依存して、小麦水溶性分画に反応するIgE量は減少したことから、患者IgEが認識する小麦アレルゲンはイネ科花粉との交差反応することが確認された。電気泳動による免疫ブロットを行い、患者IgEが認識する25kDaと35kDaのタンパク質を同定した。質量分析によりそれぞれチオールレダクターゼとペルオキシダーゼIと確認した。精製ペルオキシダーゼIを用いてCAP-FEIAを作成し、イネ科花粉による小麦アレルギー患者6名、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー患者18名、加水分解コムギアレルギー患者11名、イネ科花粉症患者11名、牛肉あるいは甲殻類アレルギー患者22名の反応を検討した結果、ペルオキシダーゼI特異的CAP-FEIAのイネ科花粉小麦アレルギー患者の検出感度50%、特異度100%であった。このことから、ペルオキシダーゼI特異的CAP-FEIAはイネ科花粉による小麦アレルギーの診断に有用であると結論した。

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