著者
夏目 琢史
出版者
国士舘大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は、遠江国井伊谷と彦根藩等の交流を中心に分析を進めると同時に、新たに確認した井伊谷町中井家文書(個人蔵)の調査を中心に実施した。前者については、とくに近世後期の彦根系譜方の動向に着目し、彼らが井伊谷でどのような歴史調査を実施していたのかについて具体的に明らかにしていった。そのなかで、井伊谷だけではなく、周辺の地域(引佐地方を中心とする)の旧家の協力を得て、遠江井伊氏についての調査が進められていった点が確認されたことには一定の意味があった。つまり、こうした旧家のなかには、地元に史料を残すものがあり(東光院・中井家など)、彦根藩側の史料と地元にのこる史料の双方から裏づけることができた。彦根藩の系譜方による由緒向調査が、遠江国井伊谷周辺(旗本近藤氏領)の地域社会に少なからず影響を与えている点は注目される。後者の点については、新たに確認された井伊谷町中井家文書(引佐町史収録分とは別)の目録作成を進めることができた。この史料群は近世中期の史料が大半を占めており、なかには日記などのまとまった記録もみられ、今後の研究の進展が大いに期待されるところである。とくに、これまでほとんど確認されていなかった中井家が井伊谷の本陣をつとめていた際の史料がみつかった点は重要である。中井家は、近世後期になると遠江井伊氏の歴史研究を進めていくが、その背景にどのような要因があったのか、引き続き、この史料群の調査を進めていく予定である。平成29年度は、ひとまず、こうした研究を進めていくうえでの基礎となる目録作成作業を重点的におこなった。

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