著者
中野 由美子
出版者
国立感染症研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

コレステロールは赤痢アメーバの生育に必須な因子の一つであり、赤痢アメーバは細胞外からのコレステロールの取込み、あるいは細菌や宿主細胞を貪食することによりコレステロールを摂取している。ヒトにおいて、コレステロールが局在するオルガネラは細胞膜であるが、赤痢アメーバではリソソームに局在していることが明らかになった。そこで、コレステロールの細胞内輸送の特殊性を理解するために、リソソーム輸送の制御機構について解析を行った。他種生物ではリソソームへの輸送は低分子量GTPaseであるRab7が膜融合を担っているが、赤痢アメーバゲノムにはRab7が9種存在した。そのうちの一つEhRab7AはエンドソームからTGNへの逆行輸送に関与することが以前に報告されていたが、EhRab7Aにもっとも高い相同性を示したEhRab7Bは赤痢アメーバ内で大量発現することにより、リソソームの肥大化を誘引ことが分かった。EhRab7Bの機能をさらに詳細に解析するために、EhRab7Bの優性変異であるH69L変異を発現させたところ、EhRab7B H69Lタンパク質の細胞内局在は膜から可溶性画分へと変化し、リソソームの形成が阻害された。さらにEhRab7B H69L変異発現株ではリソソーム酵素であるシステインプロテアーゼが細胞外に大量に分泌されていた。システインプロテアーゼの細胞内での発現はEhRab7B H69L変異株では僅かに減少しており、システインプロテアーゼのmis-secretionが起こっていると考えられた。以上の様に、赤痢アメーバのリソソーム輸送は、複数のRab7が異なるステップを調節しており、Rabの機能の細分化が起きていると考えられた。

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