著者
山口 光男
出版者
国立大学法人福井大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2017

1. 研究目的大学と企業が行う共同研究のマッチング活動を行うにあたり, 大学側の研究テーマの成熟度(完成度)と, 企業側の研究吸収能力(大学の研究成果を理解して応用する能力)とのギャップをカバーするため, 本研究では企業側の研究吸収能力を可視化するための指標開発を目的に, 産学共同研究推進に寄与する企業側要因の分析を行った。URAやコーディネーター等は, 大学側の研究テーマ内容に加えて, 企業側の研究吸収能力を把握することにより, 効果的なアドバイスを行うことが期待できる。2. 研究方法先行文献調査を行った後, 企業側の研究吸収能力と共同研究実績に関する因果メカニズムを明らかにするため, 福井大学研究戦略支援データベースに蓄積されている企業データ(東京商工リサーチTSRデータ含む)及び特許保有公開データ等から得られたデータを基に定量分析を行った。RA協議会年次大会での中間発表のほか, 産学連携研究者, 銀行関係者, 企業関係者からの意見等も参考とした。(1) 対象企業 : 福井大学産学官連携本部協力会企業のうち207社(中小企業のうち主に製造業を抽出)(2) 分析手法 : 平均比較検定(t検定), 回帰分析等【被説明変数】共同研究実績, 共同研究規模【説明変数】企業評価(TSR企業評点・4視点), 卒業生の就職状況, 特許出願状況, 研究開発費状況3. 分析結果指標として, 卒業生の就職実績, 特許出願実績, 研究開発費割合, 企業の成長性評価が有力となった。(1) 卒業生・修了生が就職している企業との共同研究は成立しやすい傾向がある。(2) 特許出願の実績がある企業との共同研究は成立しやすい傾向がある。(3) 研究開発費の割合(研究開発費÷売上高)が高いほど共同研究受入額が大きい傾向にある。(4) 企業評価のうち成長性の評価が高いほど共同研究受入額が大きい傾向にある。

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