著者
卯川 久美
出版者
社会医療法人生長会府中病院
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2017

目的 : プロアクティブ行動は先行研究において適応に影響することが明らかになっている。看護学分野において、職場適応に関連した研究は蓄積されつつあるが、プロアクティブ行動のように新人看護師を積極的に自身の適応を促す主体としてとらえた研究は少ない。したがって、本研究では新人看護師の組織社会化におけるプロアクティブ行動が職場適応に及ぼす影響を検討する。方法 : 全国の病床数200床以上の病院に勤務する、就職後一部署にとどまっている社会人経験のない新人看護師1349名を対象に、①新人看護師の組織社会化におけるプロアクティブ行動尺度、②職場適応状態尺度、③個人属性からなる質問紙調査を実施した(2017年9月~2017年10月)。新人看護師の組織社会化におけるプロアクティブ行動尺度は信頼性・妥当性の確保が検討されており、〈看護技術習熟行動〉〈人間関係構築行動〉〈積極的学習行動〉〈他者からのフィードバック探索行動〉の4つの構成要素、20項目からなる。職場適応状態尺度は〈看護実践への効力感〉〈仕事への肯定感〉〈チームへの所属感〉〈独り立ちした自覚〉の4つの構成要素、26項目からなる信頼性・妥当性が検討された尺度である。倫理的配慮 : 大阪府立大学看護学研究科研究倫理委員会の承認を受けて実施した。結果 : 293名(回収率21.7%)から回収し、272名(有効回答率20.2%)を分析対象とした。新人看護師のプロアクティブ行動が職場適応に影響を及ぼすという概念枠組みに基づき、共分散構造モデルを構成し分析を行った。結果、1回目の分析ではRMSEAが基準値を超えていたため、修正指数と改善度を参考に[職場適応]の〈看護実践への効力感〉と〈チームへの所属感〉および〈看護実践への効力感〉と〈独り立ちした自覚〉の誤差変数間にそれぞれ共分散を設定し再分析を行った。結果、モデルの適合度は、GFI=0.963、AGFI=0.922、CFI=0.965、RMSEA=0.074であった。[プロアクティブ行動]から[職場適応]へのパス係数は0.77、決定係数は0.59を示した。考察 : 新人看護師の組織社会化におけるプロアクティブ行動は職場適応に影響を及ぼすことが確認された。新人看護師のプロアクティブ行動を育成することは、新人看護師の職場適応を促進することに繋がるのではないかと考える。

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