- 著者
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笠井 清登
- 出版者
- 東京大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2017-04-01
388名の気分障害患者の既存データを用いて、認知機能は自覚指標と関連し、他覚指標との関連は有意ではないことを示した。自覚ウェルビーイング/イルビーイングと他覚ウェルビーイング/イルビーイングを担う脳基盤は一部異なるという仮説が支持された。そこで大うつ病性障害患者309名を対象に、NIRSにより測定した語流暢性課題施行時の賦活反応性を用いて、自覚的うつ症状・他覚的うつ症状のそれぞれと相関する脳部位の検討を行った。他覚的うつ症状の重症度と下前頭回領域、自覚的うつ症状と両側側頭部領域の間でそれぞれ負の相関を認めた。また、自覚・他覚的うつ症状の重症度をそれぞれ標準化(Z[自覚うつ]、Z[他覚うつ])し、それらの差分により得られた乖離の程度(Z[自覚うつ]-Z[他覚うつ])と賦活反応性の相関を検討したところ、いくつかの脳部位で相関傾向を認めた。うつの自覚指標と他覚指標に一定以上の乖離がある大うつ病性障害患者群(N=6)と自覚指標と他覚指標に乖離がない大うつ病性障害患者群(N=10)における構造MRIと安静時機能的MRI(rs-fMRI)の予備解析を行った。構造MRIでは自覚指標と他覚指標の乖離群において左下前頭回で有意な体積低下を認め、他覚的うつ指標と体積低下は正の相関を示した。rs-fMRIでは左外側頭頂皮質と両側中側頭回・後部帯状回・両側前頭極のRSFC (resting state functional connectivity)低下と左下前頭回・両側縁上回・淡蒼球とのRSFC上昇を認めた。全頭型プローブNIRS装置を用い22名の大うつ病性障害の患者のRSFCを計測し、78名の健常者のRSFCと比較した。うつ病群は健常群と比べ認知制御ネットワークの一部と考えられる左前頭前皮質背外側部―頭頂葉間でRSFCが低下し、他覚的うつ症状の強さと負に相関した。