- 著者
-
小林 一貴
竹本 稔
- 出版者
- 千葉大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2017-04-01
本研究の目的は我々が同定した筋芽細胞分泌たんぱくであるR3hdmlの骨格筋における糖取り込みにおける役割ならびにマイオカインとしての機能を明らかにすること目的としている。本年度は計R3hdmlをアデノウイルスベクターを用いて肝臓に過剰発現させた後、ストレプトゾトシン(STZ)を投与し糖尿病を惹起した際の糖代謝や生存曲線に与える影響を検討した。その結果、R3hdml過剰の有無により空腹時血糖値に差はなかったものの、R3hdml過剰マウスで有意な生存曲線の延長が観察された。以上より肝臓で過剰発現され分泌されたR3hdmlが全身の組織、細胞に影響を与える可能性が示唆され、さらに分泌されたR3hdmlと脂質代謝との関連を調べた。R3hdmlを過剰発現した肝臓では脂質代謝のマスターレギュレーター膜結合型転写因子SREBPの発現が低下することやR3hdmlを過剰発現したAd293細胞では飽和脂肪酸の一種、パルミチン添加に伴う細胞障害が軽減されることが明らかとなった。R3hdmlと全身の脂質代謝との関連が示唆され、今後さらに研究を進めてゆく予定である。