著者
藤野 純也
出版者
昭和大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

まず、研究開始に伴う手続き(被験者への説明文書、同意書、必要書類の準備、作成など)を行い、自閉スペクトラム症(ASD)群、注意欠如多動性症(ADHD)、および定型発達群のリクルート体制を構築した。ASD群とADHD群に関しては、昭和大学発達障害専門外来を受診された方に、研究の概要を説明し、参加募集を行った。発達障害の意思決定に関する先行研究をまとめること、関連学会に参加することで情報収集し、ASDやADHDの病態理解に重要な意思決定課題や質問紙などを作成し、準備した。加えて、予備実験を行うことで、ASDおよびASHD被験者の課題理解を高める方策についても検討し、課題内容を洗練した。また、本研究課題における至適なMRI撮像パラメータの選定を行った。本年度は主に、ASD群 およびTD群を対象に、埋没費用(事業や行為の中止を行っても戻ってこない資金や労力)が関わる状況下での意思決定パターンを調査した。結果、ASD群では、TD群と比較して、埋没費用効果が低下していた。また、TD群では、埋没費用の増加に伴って埋没費用効果も上昇したが、ASD群でそのような現象はみられなかった。加えて、ASD群では、TD群と比較して、課題中の選択反応時間も埋没費用に影響を受けにくいことが示唆された。ASD群では、埋没費用が関わる状況下において、文脈への感受性が低いものの合理的な意思決定を行うことが示唆された。

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