著者
三田 肇
出版者
福岡工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

立体構造が制御された核酸中の特定の部位に、機能発現を誘起させるための分子を配置することにより、高度に設計された新規機能性材料を合成することを目指した研究を進めた。本研究期間では、テロメア部位のモチーフ配列d(TTAG3)がK^+存在下で形成するパラレル四重らせん構造に補欠分子族であるヘムを組み込んだヘム-核酸複合体を合成し、外部配位子の配位や酸化還元特性とその制御機構の解析を行った。さらに、四重鎖DNAのダイマー化反応などを利用し、2つのヘムを組み込み、ヘム間距離を変えたヘム-核酸複合体の形成について検証した。四重鎖DNA中にヘムを組み込んだヘム-核酸複合体を構築可能なことを明らかにした。ヘム-核酸複合体は、分光学的性質がヘムタンパク質・ミオグロビンに類似しており、様々な化合物を軸配位子として結合し、酸化還元応答も得られることが明らかとなった。また、Mg^<2+>イオンなどの存在により安定なダイマー構造をとることや、塩基配列を選択することによりモノマー中に2つのヘムを組み込むことが可能なことも明らかとなった。さらに、2つの異なるダイマーを形成する四重鎖DNAを組み合わせることにより、ヘテロダイマーを構築することも可能であることが明らかとなった。以上のことより、異なる軸配位子をもったヘムを特定の距離に配置することが、このヘム-核酸複合体では可能になることを示した。

言及状況

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こんな研究ありました:ヘム-核酸複合体の機能解析とその応用展開に関する基礎研究(三田 肇) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/18550148

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