著者
佐藤 忠彦
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平成19年度の研究は,動学的統計モデルによるID付きPOSデータを用いた計量分析として行った.ID付きPOSデータとは,総合スーパーやスーパーマーケットで日々蓄積されている番号化された形で個人が特定できる時系列購買データであり,最も集計されていないデータである.その意味で,平成19年度の研究は18年度の研究を発展させた研究となる.研究は,前年度同様マイクロ・マーケティングの現象に関連した消費者来店行動の解析をテーマにし研究した.これらの課題は,消費者行動研究の主たる研究分野に位置づけられるものであるが,動学的な統計モデルを用いた形式で研究はなされていない.今後益々発展を望まれている研究課題であるといえる.具体的には,(1)消費者の小売店舗への来店行動および(2)カテゴリー購買積行動を解析するための動的個人モデルの提案及び解析事例の提示を行った.通常マーケティング分野では、(1)や(2)の解析を行う場合、個人毎のデータを全て用いてモデルの推定を行う.しかし、one to oneマーケティングやCustomer Relationship Management(CRM)といった当該分野における今日的課題の解決には、そのアプローチでは不十分である.その問題点を克服し、個々人の動的行動を表現するために、本研究では個人毎モデルの提案、検証を行っている.モデル化は一般状態空間モデルの枠組みで行い,その状態推定には粒子フィルタ/平滑化のアルゴリズムを用いた.モデルは実際のID付POSデータへ適用し,その有効性の検証を行った.その結果,本稿で提案するモデルが個人の来店行動及び購買生起行動の解析に適用できることが示された.(1)及び(2)の課題は,現在学術雑誌に投稿し,審査中である.

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