著者
藤野 和典
出版者
滋賀医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

過大侵襲術後や多発外傷後、重症感染症等の重症患者は集中治療を必要とし、現代の医学をもってしても未だに高い死亡率を呈している。近年Intensive insulin therapyと呼ばれる治療法が集中治療領域にて注目を浴びており、血糖値を80mg/dl以上、110mg/dl以下にコントロールすることにより、重症患者の予後を改善させると報告されている。その成因について我々は、高血糖状態においてはインスリン産生細胞が骨髄、肝臓、脂肪細胞に認められ、これらの細胞は骨髄細胞に由来することをマウスにて観察した。(Kojima H, et. al. PNAS;101(8):2458-63,2004)、重症患者においても、骨髄細胞よりの異常な細胞の各臓器細胞への融合が関連しているとの仮説が成り立つと考えられた。そこで本研究では、多臓器不全にて死亡された患者において、病理解剖を行い、当院に臓器が保存されているケースにて病歴を調べ、血糖値が上昇している(空腹時血糖が110mg/dlが超えている)患者の主要臓器(心臓、肺、肝臓、腎臓)内に、インスリンの免疫染色を行った。糖尿病の既往のある多臓器不全死亡患者にては、マウスの実験と同様に各臓器にインスリン陽性細胞が認められた。糖尿病の既往のない多臓器不全死亡患者においては、3日以内に死亡されるような経過が急な場合ではインスリン陽性細胞は殆ど見られなかったが、3日以上経過し、死亡した場合には殆どの場合、特に肝臓、腎臓においてインスリン陽性細胞が認められ、その陽性細胞は抗TNF抗体による染色にても陽性であった。本研究により侵襲下の高血糖は、肝臓、腎臓にインスリン陽性細胞を誘導し、その細胞よりTNF-αが産生され、SIRS(systemic inflammatory response syndrome)の遷延、ひいてはMODS(multiple organdysfunction syndrome)への進行を導いている可能性が示唆された。

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